マクロ経済 金利水没下のフロンティアとしてのREITに期待運用難強まり、3%利回り水準に再注目
REITが運用難のフロンティアに
今から1年前、2020年11月の当寄稿では、歴史的な低金利環境下における魅力的な投資先としてREIT市場を挙げた。同じ資産市場でも、株式市場は2020年初のコロナショックで影響を受ける前の水準をすでに2020年中に取り戻したなか、REIT市場は戻り切れていない状況に注目したからだ。
その後、2021年度上期相場を振り返れば、以下図表に示される東証REIT指数はコロナショック前の水準を回復。株式市場と比べたREIT指数の出遅れは、2020年初に生じた地域金融機関中心の投げ売りに伴う市場の歪みというのが筆者の認識であり、金利水没下の運用難のフロンティアとしてREITを位置付けている。また、不動産市場におけるコロナ後のニューノーマルとして、所有と経営の分離の受け皿にREITの機能を重視している。
【図表1】東証REIT指数推移
REITの分野ごとの乖離
コロナショックが「コロナ7業種」を中心に深刻な影響を及ぼすなか、分野別の二極化が特徴となった。コロナショックで最も大きな影響を受けたのが宿泊業であっただけに、その回復は遅れ、以下の図表でもホテルはコロナショック前の水準に回帰していない。テレワークや郊外への分散などの広がりで、オフィスも危機前の水準には届いていない。
一方、宅配などの需要拡大により、物流施設は賃料の上昇期待も生じ、EC需要を含めたニーズも強く、物流分野は大幅な上昇が続いている。住宅はコロナショックでも比較的安定した分野でショック前を上回る水準にあり、商業分野もコロナ前の水準に戻っている。REIT市場は分野による乖離は今後も続くと考えられるが、インカムが確保される観点からREITへのニーズは続くとみられる。
【図表2】REITの分野別状況推移
この記事は会員限定です。
会員登録後、ログインすると続きをご覧いただけます。新規会員登録は画面下の登録フォームに必要事項をご記入のうえ、登録してください。