GDPからは前年同期比マイナス11.6%の見込み

宅森 昭吉
三井住友DSアセットマネジメント
理事 チーフエコノミスト
宅森 昭吉

2021年1~3月期実質GDP(国内総生産。第1次速報値)は前期比マイナス1.3%、前期比年率マイナス5.1%と、3四半期ぶりのマイナス成長になった。2回目の緊急事態宣言発出の影響で、最大の需要項目の実質個人消費が前期比マイナス1.4%と3四半期ぶりに減少したことが主因だ。

設備投資も前期比マイナス1.4%と2四半期ぶりの減少になった。新型コロナウイルスで先行きが不透明な中、企業が設備投資に慎重になっている感が強い。名目の季節調整済み・前期比はマイナス0.6%と2四半期ぶりの減少である。名目の前年同期比はマイナス5.6%と6四半期連続の減少で、10~12月期のマイナス4.0%から減少率が拡大した。

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GDP第1次速報値では、設備投資は供給サイドのデータから推計される。需要サイドの設備投資データである法人企業統計が注目されるのはGDP第2次速報値においてである。第1次速報値では、原材料在庫と仕掛品在庫が仮置き値である民間在庫変動に法人企業統計データが使用されることと併せて、GDP第2次速報値で大きく変動する可能性がある項目だからだ。

GDP第1次速報値公表時に、名目設備投資の供給側推計値の原系列前期比と、需要側推計値(仮置き値)の原系列前期比が明らかにされている。これにより、需要側推計値(仮置き値)の原系列前期比を使って法人企業統計の前年同期比を計算することができる。

1~3月期第1次速報値では、名目設備投資の供給側推計値の名目原系列前期比はプラス6.7%で、需要側推計値(仮置き値)の名目原系列前期比はプラス27.1%であると公表された。10~12月期の法人企業統計・設備投資(除くソフトウェア)の原数値に1.271をかけて2020年の1~3月期の原数値で割ることで、GDP統計から示唆される法人企業統計・設備投資1~3月期の前年同期比がマイナス11.6%程度になることが求められる。6月1日に公表される実際の法人企業統計の伸び率が、これより高いか低いかを比較することで、1~3月期実質GDP成長率・第2次速報値での設備投資の予測の参考にすることができる。

【図表】設備投資(除くソフトウエア)(前年同期比:%)

図表
※2021年1-3月期の前年同期比は、GDP第1次速報値公表時に発表された
需要側推計値(仮置き値)名目原系列前期比+27.1%を当て嵌め算出したもの
(出所)財務省

10~12月期法人企業統計・設備投資

2020年10~12月期の法人企業統計調査の設備投資(除くソフトウェア)の動きを確認しておこう。10~12月期の前年同期比はマイナス6.1%と、7~9月期の前年同期比マイナス11.6%から5.5ポイント伸び率が改善したものの、5四半期連続でマイナスとなった。

製造業は7~9月期で前年同期比マイナス11.4%の減少だったが、10~12月期では同マイナス10.7%と減少率がやや縮小した。非製造業は7~9月期で前年同期比マイナス11.6%の減少だったが、こちらは10~12月期で同マイナス3.4%の減少と 8.2ポイント伸び率が大きく改善した。

10~12月期・設備投資(除くソフトウェア)の季節調整済み前期比はマイナス1.4%と3四半期連続減少した。製造業はマイナス3.6%と8四半期連続減少した。非製造業はマイナス0.3%と3四半期連続の減少になった。

関連データからみた設備投資動向

景気ウォッチャー調査から設備投資関連・DI(ディフュージョン・インデックス)を作成し2020~2021年の動きを見よう。2020年1月の現状判断DIが52.8と2018年12月分の55.0以来の景気判断の分岐点である50超であった。当時の設備投資関連・現状判断DIからは底堅さが感じ取れた。

しかし、新型コロナウイルスの影響で現状判断DIは2020年4月では10.0へと急落した。2020年4月を底に、多少の上下はあったものの11月には50.0まで持ち直した。その後は新型コロナウイルス感染再拡大の中、12月44.4、2021年1月39.3、2月は37.5と低下したあと、3月47.5に戻り、4月は44.4になっている。2021年1~3月のDI の平均は41.4で2020年10~12月平均の47.1から低下している。

一方、設備投資関連・先行き判断DIは2020年4月の18.8をボトムに持ち直し、9月に45.5まで戻した。その後、10月41.1、11月35.0、12月45.8、2021年1月64.3、2月44.4、3月55.6、4月46.9と推移してきた。2021年1~3月のDIの平均は54.8で2020年10~12月平均の40.6から上昇している。現状判断より、先行き判断の方が明るい判断になっていると言えそうだ。

なお、4月では「経済産業省が出している事業再構築補助金が大分浸透してきている。設備投資意欲が非常に旺盛な中小企業で抑えられていたものがいろいろな形で段々と上がってきており、設備関連の投資がこれからさらに増えるのではないかとみている。また、その関連で工作機械メーカーの受注も非常に好調である。建設業も非常に良い。飲食業は新型コロナウイルスの感染が収まれば必ず良くなるという確信もあるので、現状はともかくとして、将来の見通しは上がり調子になるのではないかと期待が持てる。(北陸・税理士(所長))」と先行きを期待するコメントも出てきている。

法人企業統計の設備投資と相関が高い、建設物価調査会の民間企業設備投資動向調査(直近3月調査)では、1~3月期(実績見込み)設備投資額(建設投資+機械投資)(ソフトウエア・土地除く)の前年同期比はマイナス55.7%と10~12月期(実績)のマイナス17.4%から減少率が拡大している。なおその後は、4~6月期(計画)マイナス10.8%、7~9月期(計画)マイナス4.4%となっている。

以上、総合的に判断すると、1~3月期の法人企業統計の設備投資の前年同期比は6四半期連続の前年同期比減少になる可能性が大きいとみられる。