大企業・製造業・業況判断DIプラス12程度と9月調査から上昇か

宅森 昭吉
景気探検家・エコノミスト
宅森 昭吉

日銀短観2023年12月調査では、大企業・製造業の業況判断DI(ディフュージョン・インデックス)は前期に引き続き自動車などでの改善が見込まれ、プラス12程度と9月調査のプラス9から3ポイント程度上昇すると予測する。予測通りなら3期連続の改善になる。

また、大企業・非製造業の業況判断DIはプラス29程度と、こちらは9月調査のプラス27から2ポイント程度上昇し、7期連続の改善になると予測する。

インバウンド需要の増加で宿泊・飲食サービスなどが改善に寄与すると思われる。予測通りなら1991年12月調査のプラス33以来の水準になる。

【図表】大企業・製造業・業況判断DIと鉱工業生産指数
大企業・製造業・業況判断DIと鉱工業生産指数
出所:日銀、経済産業省

鉱工業生産指数からみて大企業・製造業・業況判断DIは改善か

大企業・製造業・業況判断DIは鉱工業生産指数と強い相関がある。21世紀に入った2001年1~3月期から2023年7~9月期までの期間で、大企業・製造業・業況判断DIは鉱工業生産指数との相関係数は0.643だ。同期間で回帰分析を行うと、鉱工業生産指数が1ポイント上昇すると、大企業・製造業・業況判断DIが約1.4ポイント高まる関係がある。

2023年10~12月期・前期比は、10月速報値を11月の経済産業省の先行き試算値最頻値・前月比(マイナス1.9%)、12月製造工業生産予測指数・前月比(プラス3.2%)で延長するとプラス0.8%になる。7~9月期の指数水準103.5からプラス0.8%上昇すると10~12月期の鉱工業生産指数は104.3である。

2023年11月と12月の前月比をどちらも製造工業生産予測指数・前月比(マイナス0.3%、プラス3.2%)で延長すると10~12月期前期比はプラス1.9%になり、10~12月期の鉱工業生産指数は105.5になるので、指数は2.0ポイント上昇だ。12月調査・大企業・製造業・業況判断DIは9月調査から緩やかな上昇が見込まれる。

QUICK短観(12月調査)やロイター短観(12月調査)の動向

2023年12月5日に発表されたQUICK短観12月調査の調査期間は同年11月20日から11月30日。12月調査の製造業の業況判断DIは9月調査のプラス10と同じプラス10となった。また、12月調査の非製造業の業況判断DIはプラス31と、こちらも9月調査と同じDIになった。

12月6日に発表されたロイター短観12月調査の調査期間は11月21日から12月1日。12月調査400社ベースの製造業の業況判断DIは9月調査のプラス4から8ポイント改善しプラス12になった。また、12月調査200社ベースの製造業の業況判断DIは9月調査のプラス17から10ポイント改善しプラス27になった。

ロイター短観12月調査400社ベースの非製造業の業況判断DIは9月調査のプラス23から3ポイント上昇しプラス26。また、12月調査200社ベースの非製造業の業況判断DIは9月調査のプラス15から6ポイント上昇しプラス18になった。

阪神タイガースの“アレ”が裏付ける大企業・全産業・業況判断DIの改善

今年は阪神タイガースが18年ぶりにセ・リーグでアレし、38年ぶりにアレのアレを果たした。1973年以降2022年までの50年間では、阪神タイガース優勝が優勝したのは1985年、2003年、2005年の3回だ。

1973年以降2022年までの50年間での日銀短観・大企業・全産業12月調査の前年差変化幅の平均はマイナス0.2ポイント。人気球団の巨人の優勝年では改善・悪化が概ね半々だが、前年差変化幅の平均はプラス5.7ポイントの改善である。人気2位の阪神の優勝年では改善が2回・悪化が1回だが、前年差変化幅の平均はプラス1.7ポイントと改善である。残る4球団(ヤクルト・広島・中日・DeNA)の優勝年では改善が12回・悪化が15回で、平均はマイナス4.7ポイントの悪化だ。

2022年12月調査の大企業・全産業の業況判断DIはプラス13だった。阪神の優勝年の2023年12月調査ではプラス19程度が見込まれる。前年から改善するという傾向は今年も成り立ちそうだ。