資源・エネルギー
原油価格は年後半に上昇へ。中国の景気次第で急落もあり得る

シェールオイルの増産は一服も原油の潤沢な供給は継続

原油は供給過剰が続いている。米国のシェールオイルの増産は最近ようやく頭打ちになったが供給力はいまだ高く、ロシア、イラク、サウジアラビアなどの産油国も原油を増産している。一方で、需要は新興国の景気減退の影響で鈍化しており、原油市場は価格競争の様相を呈している。2016年もこの状況は続くだろう。

原油価格が変動する需給以外の要因には為替がある。原油などのコモディティはドル建てで取引されるため、ドル高が進むと割高感から価格が調整される傾向がある。原油市場の大幅な調整は、2014年後半からドル高が大きく進んだことも寄与したと考えられる。

原油価格の下落は2015年1月にいったん一服し、持ち直すような動きが春にかけて見られたが、原油の供給過剰が継続したために春以降は再び下落傾向となり、今に至っている。シェールオイルの増産の歯止めも原油需給を引き締めるほどの影響はなく、OPEC、ロシア、米国による潤沢な供給は今後も続くと考えられる。

原油の上値は50ドルまで、金属の価格上昇は緩やか

ドル相場は、2016年前半までは堅調に推移すると見ている。FOMC(連邦公開市場委員会)メンバーの見通しでは米国の利上げは年内に4回であり、利上げ観測によるドルの先高感は原油市場にとってネガティブな材料になりそうだ。加えて、春にかけては季節的な要因で原油の需給が緩みやすい。年前半の原油市場は2015年末から横ばい、もしくは少し弱い程度で推移すると考えている。1バレル=30ドル割れがしばらく続くこともあり得るだろう。

2016年後半は、おそらく世界景気の拡大によって、現状と比べれば原油需要は増加し、原油の荷余り感はある程度緩和されると思われる。相場は緩やかに上昇に向かうのではないか。ただし、上値はせいぜい1バレル=40ドル台後半までだろう。

最大のリスクは中国の景気だ。景気減速が市場の想定を超えるものとなれば需要の下振れ懸念が強くなり、20ドルを目指す相場にもなり得る。また、ドル相場が予想外に強い場合も大幅な原油安になりやすい。米国の利上げは実際にはせいぜい2回というのが市場の平均的な見方だが、実際に利上げが4回行われるようならドル高・原油安が加速することが考えられる。

地政学リスクにも注意したい。「イスラム国」の問題やサウジアラビアとイランの対立など、中東情勢は引き続き不安定であり、何らかの事件が勃発すれば短期的に原油相場が反応する可能性が考えられる。OPECが単独で原油の供給を絞ることは現状では考えづらい。ただOPECの中心国であるサウジアラビアの財政はかなり厳しくなっており、今後はロシアなどと協調して減産に向かう可能性もゼロではない。その際には原油価格は急反発することになる。

原油以外のコモディティも総じて価格が下がっている。金属は原油安によって精錬コストが下がるため、原油と連動して価格が下がりやすい。しばらくは金属価格も横ばいか下値を試すと考えられる。しかし、年後半に需要が少し持ち直す動きが出てくると、供給圧力は原油より強いと思われるため、金属価格の反発は原油より緩やかになると考えている。

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