米国経済
共和党政権誕生なら成長加速、内需主導の成長で利上げ継続

議会は共和党の優勢が続く。民主党政権なら「抑制された成長」

FRB(米連邦準備理事会)の金融政策は当然のことながら、11月の大統領選挙は米国だけでなく、世界経済にとっても重要なイベントといえるだろう。誰が大統領になるかによって、世界経済を支えている米国の経済政策・外交政策が大きく変わり、成長率にも影響するためだ。

現時点では民主党はヒラリー・クリントン氏が優勢。共和党はドナルド・トランプ氏が台頭しているが、政治経験が乏しいなど不安要素が多く、現状で誰が候補になるか不透明である。いずれにせよ、民主党の大統領になれば、オバマ政権と同様に経済政策が停滞する可能性が高い。議会では下院は共和党の優勢が続くとみられるため、仮に上院で民主党が過半数を奪ったとしても議会がねじれの状態になるためだ。

逆に、共和党の大統領が誕生すれば政策を進めやすくなり、富裕層を含む減税、金融規制の緩和が行われるだろう。減税すれば財政赤字が増えるものの、経済成長は加速すると見込まれる。

共和党政権が誕生すれば、年末にかけて米国に対する強気観測が強まり、株高やドル高が促されるだろう。民主党政権の場合は、ドル高は抑えられ、株価は上昇するが共和党政権よりも抑制された上がり方になると思われる。

家計部門が内需をけん引、中国の成長鈍化が懸念材料

米国経済は、国内需要は強いものの、海外需要の停滞が足を引っ張る形で抑制された成長がしばらく続きそうだ。
雇用の伸びは鈍化するが賃金が上昇するとみられ、個人消費の伸びが期待できよう。住宅は長期金利が低位で安定しそうなこと、銀行の融資スタンスが緩和的なことがプラスに働こう。

一方で住宅価格の上昇が消費者の購買意欲を抑えるため、全体では住宅投資は緩やかな回復傾向となるとみられる。財政面では、政府支出を抑制していた強制歳出削減プログラムを止めて、そこから上乗せした金額を歳出の上限とすることで与野党が合意しているので、政府部門はこれまでより景気を押し上げる方向に動きやすい。設備投資は、原油価格の下落の影響で抑制された2015年と比較すると、その反動もあり緩やかに拡大すると想定される。

外需は成長を抑制する要因となろう。米国の利上げと日本、欧州の金融緩和が続く状況でドル高に動きやすいうえ、中国など新興国の成長鈍化が続くとみられることから、輸出は抑制されよう。

総合すると、米国経済は家計部門主導での国内需要による緩やかな景気拡大がしばらく続く公算が大きい。

懸念材料を挙げるとすれば、やはり外部要因となる。ドル高による製造業の調整がさらに長引くことになれば、
2016年前半の経済成長率が抑制される要因となり得る。また、米国の利上げによって新興国からの資金流出がより拡大していく可能性も考えられる。さらに、ドル高や需給バランスの悪化により原油など資源価格の下落が続く可能性がある。

このことが新興国の経済成長の予想を超える下振れ、ひいてはグローバルな金融市場の調整を招くかもしれない。
中国の経済成長率が6%台前半、あるいはそれ以下に一時的にせよ下振れれば、中国に輸出しているアジア各国の成長率も大きく下振れてしまう。そうなれば米国の輸出にも悪影響が及び、米国の成長率も鈍化するリスクがある。

以上のようなリスクがあるなかで、FRBは金利の正常化を進めようとしている。リスクマネージメントを強化しており、世界経済減速や金融市場の調整の影響を見極めながら慎重なペースで利上げを進めると見込まれる。

【特集】未曾有の運用難をどう乗り越える? アフターコロナの運用戦略