M・コーリー・ゴールドマン(M. Corey Goldman)
カナダを拠点に北米経済全般・資本市場をカバーするフリーの金融ジャーナリスト。以前は、ブルームバーグ・ニューズ、CNN、トロント・スター、カナダ・フィナンシャル・ポストなどで取材・編集を担当。社会奉仕活動ではHelp For Children/Hedge Funds Care(ニューヨーク)役員を兼任。
瀕死状態脱却政策の実効性が問われている
日本経済が2015年7~ 9月期にテクニカルリセッションに陥ったという11月16日の1次速報のニュースは、北米の投資家の間ではあまり注目されなかった。そのニュースが流れた時間のせいかもしれない。北米市場では、下落が続く原油などの商品市場の動向と、FRB(米連邦準備理事会)がどの時点で10年ぶりの利上げに踏み切るかに投資家の注意が集中した1日が終わろうとしていた。
12月8日に同四半期はプラス成長だったという改定値が発表されたことで、テクニカルリセッションの話そのものは立ち消えになった。しかし、日本経済が瀕死(moribund)状態にあることに変わりがなく、それを浮揚させ、デフレからの脱却を目指す政策の実効性への懸念は残ったままだ。モントリオールに本社を置くグローバル投資調査会社BCAリサーチは12月の調査レポートで次のように述べている。
「日本がデフレに戻ることは考えられないが、2016年前半のヘッドライン(総合)インフレ率は為替相場が円安で推移するか、あるいは企業の景況感がさらに改善するということがなければ、市場予想に達しないだろう。そのため、2016年に日銀が追加的な金融刺激策を打ち出す可能性は否定できない」
この記事は会員限定です。
会員登録後、ログインすると続きをご覧いただけます。新規会員登録は画面下の登録フォームに必要事項をご記入のうえ、登録してください。