米国債の利回り上昇やこれまで堅調だった金価格の下落など、2021年に入って世界の運用環境は変化の岐路に立っている。こうした中、長期で着実なリターンの獲得を狙う年金基金はどのように運用を考えていくべきだろうか。連載「年金基金への提言」第1回では、このたび『しっかり貯まる企業年金』と商標登録した西日本機械金属企業年金基金で運用執行理事を務める木口愛友氏に、現在の運用環境と今後懸念されるリスクについて聞いた。
各国のテーパリングが株価の上値を抑える懸念も
「全体的にはカネ余りバブルの様相を呈している。問題はいつどのような形で今の上昇トレンドが変化するか」。日経平均株価が1990年以来の高値を付けるなど、明るいニュースの多い昨今の金融市場について、西日本機械金属企業年金基金で長年にわたり運用執行理事を務めてきた木口愛友氏はこのように俯瞰する。
トレンド変化の要因はいくつも考えられるが、木口氏が特に懸念するシナリオが世界の「コロナ慣れ」だという。世界中で猛威を奮う新型コロナウイルス感染症の流行が実際には収束せずとも、人々がパンデミック下の生活に慣れてしまえば、各国政府・中央銀行は対策の縮小に踏み切る可能性が高い。
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