中国企業の海外進出の3類型
![丁 可](https://j-money.jp/assets/img/ding-ke.jpg)
アジア経済研究所 開発研究センター
企業・産業研究グループ 副主任研究員
丁 可(てい・か)
経済学博士。1999年中国南京大学卒業。2005年名古屋大学博士課程単位取得退学、アジア経済研究所入所。専門分野は中国経済、中小企業、グローバルバリューチェーン、起業とイノベーション。近年、深圳を中心に、中国のイノベーションエコシステムに関連する調査研究に従事
中国は、世界有数の外資誘致大国として知られているが、実は2010年代以降、対外直接投資も着実に拡大している(図表)。中でもアジア向けの投資は、常に全体の6割以上を占めており最大となっている。なお、2017年以降、対外直接投資額は減少傾向をたどっている。それは中国政府が外貨の流失に歯止めをかけるために、同年より外貨送金規制を一気に厳格化したためである。
中国企業の海外進出には、3つの類型がある。第1は、中国政府の一帯一路構想(新しいシルクロード構想)に従って、沿線国でインフラ建設に携わる国有企業の進出である。第2は、賃金上昇や貿易戦争の影響を受けて、民間企業を主体に推進する周辺国への生産移転である。第3は、海外市場の開拓を目指す進出である。この類型の中でも、デジタルエコミーに関連する新興企業のアジア進出が近年とりわけ注目されている。
この記事は会員限定です。
会員登録後、ログインすると続きをご覧いただけます。新規会員登録は画面下の登録フォームに必要事項をご記入のうえ、登録してください。