ESG(環境・社会・企業統治)やSDGs(持続可能な開発目標)の着実な推進には、さまざまな取り組みを支える資金面でのスキームが不可欠だ。持続可能な社会に向けて必要とされる投融資の在り方とは何か。経済産業省、環境省、三井住友銀行の3者に話を聞いた。
経済産業省
環境イノベーションを支える「トランジション・ファイナンス」
2030年度においてCO2排出量を26.0%削減する目標
地球温暖化問題の解決が喫緊の課題となる中で、日本は2030年度におけるCO2排出量の削減目標を-26.0%(2013年度比)に設定し、2016年のパリ協定で約束草案として提出した。これは、EU-24%(2013年比)、米国-18~21%(2025年時点、2013年比)と比較しても最も高い目標値である。さらに2050年には-80%という削減目標を掲げている。
「2020年はパリ協定の運用を実行していくフェーズに入った年であり、目標を着実に実現していくために、具体的な行動とそのための環境整備を行うことが重要と考える。環境問題の解決と経済成長を二者択一として捉えるのではなく、ビジネスの力を最大限に活用して、イノベーションを通じて気候変動を解決していくという方針を打ち出している」(経済産業省 産業技術環境局 環境経済室長 梶川文博氏)
日本はこれまでもCO2削減へ着実に取り組んできた。2014年から5年連続で排出削減をしており、2018年時点で2013年度比-12%を削減している。これはイギリスの-18.3%に次ぐG7(主要7カ国)第2位の成果だ。先進国が低炭素化できた背景には、欧州の製造業からサービス業へのシフトなど、産業構造が変化する中で、工業製品を輸入に頼るなど“海外依存”が進んだ結果だとも言われているが、日本では、そのような輸入依存はなく、いわゆる「貿易に体化されたCO2排出量」も低く抑えられている。
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