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マクロ経済 株価と実体経済の乖離に注意。感染再拡大や米中衝突で急落も
歴代最長政権の光と影
2020年8月28日、安倍晋三首相(当時)は、健康上の問題を理由に突然の辞任表明を行った。本稿は、これまで長期政権を維持し、連続在職日数で歴代最長を更新した安倍政権の経済政策「アベノミクス」の光と影を簡潔に総括するとともに、新型コロナウイルスの感染拡大の中でポスト・アベノミクスに残された金融・経済面の課題について展望する。
2012年12月26日に発足した第2次安倍政権は、日本経済の再生とデフレ脱却のために「三本の矢」(金融政策、財政政策、成長戦略)からなるアベノミクスと呼ばれる経済政策パッケージを策定した。とりわけ日本銀行の金融政策への依存が顕著であったと筆者は考えている。主な政策として、2013年1月のインフレ目標政策、同年4月の異次元緩和とも称される「量的・質的金融緩和」、2016年1月のマイナス金利政策、同年9月のイールドカーブ・コントロール政策など、過去に例のない大胆な金融政策が相次いで決定された。
こうした一連の金融政策を背景に、金融市場では、過度な円高が是正されるとともに、景気回復に伴う企業収益の拡大なども追い風に、株価指数やJ-REIT(不動産投資信託)指数が大幅に上昇した。また、2013年末には、持続的な物価下落という意味での「デフレ状態」から抜け出すことに成功した。
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