年金資産運用・基礎の基礎 【ヘッジファンド探究】第4回 株式ロング・ショート戦略(後編)〜多様な運用スタイルを読み解く~
前回は、株式ロング・ショート戦略を運用するヘッジファンド・マネージャーとの面談を「バーチャル体験」しました。一方、株式ロング・ショート戦略の運用スタイルはさまざまです。それでも河西さんによると、一歩引いて全体を眺めると、いくつかの共通したパターンが見えてくるといいます。今回は、株式ロング・ショート戦略の全体像を整理しながら、運用者の特徴をどのような視点で分類すればよいのかなどを解説していただきます。
「運用の設計図」を理解する
株式ロング・ショートの運用者が企業業績の「市場予想」と「実際」との歪みをどのように見つけ、その歪みをロング(買い持ち)とショート(売り持ち)でどのように収益につなげていくのか。前回のヒアリングで、その考え方がよく分かりました。しかし、実際には運用者ごとに手法はかなり違いますよね。ここは、どのように整理すればよいのでしょうか。
河西 ポートフォリオの組み方も投資哲学も、運用者によって細部は必ず違います。ただ、ある程度はパターン化できると思います。例えば、ネット・エクスポージャー(ロングからショートを差し引いた実質的な投資額の割合)をどの程度持つのか、何銘柄くらいに投資するのか、ショートをどのように使うのか。まずポートフォリオの組み方から整理すると、理解しやすいと思います。
なるほど。運用の設計図のようなものでしょうか。
河西 そうです。ネット・エクスポージャーを例にとると、様々なタイプに分けられます。例えば、ロングエクスポージャーが100%、ショートエクスポージャーが50%であれば、ネット・エクスポージャーは50%になります。このような運用は、株式市場が上昇すれば、その恩恵を取りにいくロング寄りの戦略と言えます。一方、ロング100%、ショート100%であれば、ネット・エクスポージャーは0%になり、市場全体の方向性ではなく、銘柄選択によって収益を狙う市場中立型の運用になります。
日本の年金投資家だと、株式市場との連動性はできるだけ抑えたいというニーズが多いです。運用設計は、初めに確認した方が良さそうですね。
河西 その通りです。運用設計の分類にはいろいろな考え方がありますが、私なりに整理すると、おおよそ【図表1】のようなイメージになります。ここで重要なのは、運用設計に関しては、どれが優れているかということではないという点です。ネット・エックスポージャーが0%に近い市場中立側の運用だから良いということではありませんし、レバレッジが高いからリスクが高いというほど単純でもありません。まずは運用の骨格を理解し、その上で、自分たちが期待する戦略なのかを判断すればよいと思います。
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