FRBやECBのマイナス金利の深掘りスタンス
2020年を迎えたが、世界銀行やIMF(国際通貨基金)などの世界経済見通しは芳(かんば)しくなく、主要国の中央銀行がここ数年の超低金利政策から脱却に向けて確固たる動きを見せることはなさそうだ。そのため、欧州の多くの機関投資家は、収益確保のため、過去最低の利回りが続く債券以外の投資先を探し求めることになるだろう。
この超低金利時代について、インベスコ・フィックスト・インカム(IFI)のチーフ・ストラテジスト兼ヘッド・オブ・マクロ・リサーチのロブ・ワルドナー氏は、こう警鐘を鳴らす。
「世界の中央銀行はここ数カ月、金融緩和をかなり拡大させている。FRB(米連邦準備理事会)は2019年8月に金融政策を緩和方向に転換済みだ。またECB(欧州中央銀行)も政策金利の引き下げ路線を続けており、マイナス金利の一層の深掘りが見られる」
このような環境下では債券利回りへの期待は低い。米中貿易摩擦から中東情勢の緊張の高まりに至るまで、経済や地政学的状況の不透明感が続く中では利回りは引き続き圧迫されるだろう。インフレ圧力が高まる兆候はない。そして、一部の中央銀行は、経済を少なくともリセッションに陥らせないよう躍起になっている。アシュバートン・インベストメンツのマルチアセット・ストラテジー部門でグローバルヘッドを務めるアルノ・ローレンツ氏はこう予測する。
「投資家の資金が安全な避難先に流れることによって、債券利回りは恩恵を受けるかもしれない。しかし、財政赤字の拡大で投資家が要求するリスクプレミアムが増大する可能性がある。先進国の債券利回りが依然として低い状況を受けて、新興国市場にはより高い利回りを求める投資マネーが流入するだろう。ただし、新興国市場の場合、リスクが高まり続ければ収益の持続的確保の可能性はないと見ている」
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