PE(プライベートエクイティ)をはじめとした「プライベート資産」の存在感が国内外で高まっている。プライベート資産はアセットアロケーションの新基軸となり得るのか。その可能性を探る。(工藤晋也)
米国機関投資家は5-10%保有、情報面や低流動性に改善の兆し
プライベート資産とは、上場などせずに特定の投資家向けに提供している非公開のアセットクラスの総称で、株式市場などに上場して自由に売買できる“パブリック資産” の対極に位置する。代表格であるPEのほかにプライベートデットや私募REITなどのアセットクラスが含まれる。
プライベートな資産のために大まかな数字になるが、その市場規模は「世界全体で300兆円強」とアーク東短オルタナティブの取締役、鈴木英典氏は見積もる。米国の年金基金の間ではすでに主流のアセットクラスになっており、「ポートフォリオの5-10%程度を占める」(鈴木氏)ほどだ。
しかし、国内に目を転じるとまだ発展途上といったところ。「運用資産残高も3兆円程度と推察される」と鈴木氏は明かす。欧米に比べて広がりが限定的なのは次の理由が挙げられる。
その1つは「情報の少なさ」だ。非公開のアセットクラスという性質上、そもそも情報はオープンにはされていない。それだけでなく、「これまでは運用サイドが積極的に情報開示しなくても、投資資金を十分に確保することができた」(アーク東短オルタナティブの投資顧問部長、飯島信行氏)という面もあった。
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