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欧米の企業年金の最新動向 日本と同様にデリスキング運用を志向も、見据える先は「年金バイアウト」【Focus】市場の注目テーマを深掘り
かつてなく良好な積み立て状況が、年金リスク移転の格好の機会に
足元の欧米の企業年金基金の状況を俯瞰する上で重要なのが、企業会計ベースの積み立て水準が過去最高レベルを記録していることだ。
ここ最近の金利上昇を受け、長期債の利回りが上昇し、時価会計における割引率が大きくなったことで、負債サイドは縮小している。他方、資産サイドは株高などの影響で拡大している。このギャップが、かつてなく良好な財政状況をもたらしているのだ。
この現状を受け、今後も財政の好調を維持するべく、金利の動向を窺いつつLDI(債務重視の運用)のやり方を見直す企業年金は増えている。過去に長期債のエクスポージャーを取りすぎていた企業年金はレバレッジの比率を下げるなど、足元の逆イールドの金利環境が平常化していくことも見越して、給付債務のヘッジの再構築が広く提案されている印象だ。
他方で、負債を超える剰余をどうするかについては、様々な対応がみられる。積み上がった資産を原資として、過去に閉鎖・凍結したDBをリオープンするなど、給付を改善する動きも散見される。
ほかに、日本では考えられないが、イギリスでは年金スポンサーが一定の割合の税金を支払えば、負債を超える分の資産を自社の利益にできる制度があり、これを実施しようとする企業もある。
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