2020~2021年、2023~2024年第1四半期において好調なパフォーマンスがみられたことで、ヘッジファンド投資の再開を検討する投資家も出てきているという。足元の運用環境や投資妙味のあるセクターについてゲートキーパーに聞いた。
2023~2024年第1四半期で好調なパフォーマンスを記録
ヘッジファンド(HF)への投資から長年遠ざかっていた日本の機関投資家は少なくないだろう。しかし、2020年~2021年、2023~2024年第1四半期においてHFが好調なパフォーマンスを記録したことを受け、投資を再検討する投資家も出てきている。
アクシア・ジャパン シニア・ポートフォリオ・アドバイザーの安山在基氏は、「パンデミックを経て、インフレの見通しがつかず世界景気がハードランディングに陥る恐れがあった頃と比較すると、足元の不確実性は“やや低下した” と言えるかもしれない」と述べ、VIX指数(Volatility Index、恐怖指数)が低位に推移しているにもかかわらずHFが好調なのは、ディスパージョン(銘柄間のばらつき)がある程度残っており、ロングとショートを組み合わせたシンプルなレラティブバリュー戦略が効きやすかったことが一因ではないかと、年初来の動向を振り返る。
実際、景気の悪化とともに金利が高止まる環境下では、株式やクレジットなどのリスクアセットは暴落するというのが教科書的なメインシナリオになるはずだが、コロナ禍で市中に莫大な資金が供給されたため、結果としてそれほど痛まなかった。
MCPアセット・マネジメント マネージング パートナーの藤井俊氏は、「先行き不透明な運用環境が続き、大きくアクセルを踏むことができない状況が2023年まで続いたように思う。2024年は引き続きインフレと金利の動向が今後のマーケットの方向性を考える上で最も重要になるだろう。とはいえ、多少なりとも視界は晴れつつある。確実性の高い戦略だけで固めるというよりは、売られた局面でリスクアセットを買っていく“攻め” のアクションをとれるのではないか」と見解を示す。
FRB(米連邦準備理事会)の利下げ開始時期や回数についての予想が後退する中、藤井氏がメインシナリオとして基軸にすべきと主張するのが「ハイヤー・フォー・ロンガー(Higher for Longer)」だ。「金利が高止まる環境下では、地域によって様々な投資テーマが生まれてくるだろう」と述べ、各国地域において投資妙味のあるセクターを次のように挙げた。
まず、欧州ではハイイールド債券だ。欧州景気自体は低調なものの、グローバルにビジネスを展開し収益を上げている企業も少なくない。償還期限のある債券のほうが株式に比べ収益獲得の確実性が高いと考えられる上、2025年以降にマチュリティ・ウォール(債券満期の壁)が近づいており、割安になった債券でも企業が今のうちに借り換えるとなれば、投資家はディスカウント分を享受できることになる。
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