日立製作所の建設機械製造部門がルーツで、グローバルに事業展開を進める日立建機。同社の企業年金基金は、制度の持続可能性を確保しつつ、給付水準を改善する狙いで2023年度から「リスク分担型企業年金」に移行しました。その経緯や考え方の基本などを、佐々木 良二常務理事に伺いました。

日立建機 佐々木 良二常務理事
古い世代には懐かしい「日立」のロゴマーク。しかし今、日立建機の主戦場は海外。その売上比率は約80%で、連結子会社79社のうち日本国内は7社だけ=東京都台東区東上野の本社

日立建機企業年金基金の概要

  • 所在地/東京都台東区東上野
  • 設立年月/1970年10月に厚生年金基金、代行返上し2004年10月に企業年金基金
  • 資産総額:約630億円
  • 加入事業所数:5社
  • 加入者:9231人 受給者:1692人
    (いずれも2023年3月現在)

リスク分担型企業年金は「集団型DC」

今回のメインテーマは「リスク分担型企業年金」ということになります。制度は随分知られていますが、まだまだ導入例は少ないと聞いています。まず概要を教えていただけますか。

佐々木 リスク分担型企業年金とは、母体会社があらかじめ規約で定めた掛金を拠出し、資産は企業年金基金が運用します。ここまではDB(確定給付企業年金)と同じですが、年金給付額は積立状況によって変動する仕組みです。「日本版集団型DC(確定拠出年金)」という言い方もされています。掛金が固定される一方、給付は変動するので会計上DCに区分されています。

日立建機はごく最近、制度変更されたわけですね。

佐々木 そうです。【図表1】で制度移行の前後の姿を示します。

【図表1】DBからリスク分担型への移行の概要

【図表1】DBからリスク分担型への移行の概要

左側が従来のDBで予定利率が1.5%と保守的な運用状況でした。それを右側のような制度に移行したわけですが、現役社員は右上のリスク分担型企業年金に移行し、予定利率を2.5%に引き上げました。

一方、年金受給者は右下の閉鎖型年金に移行して従来通りの取り扱いを継続しています。受給者のための年金原資は既に十分確保していますので、予定利率は0.0%に引き下げました。閉鎖型年金では政策アセットミックス上、債券・キャッシュ・生保一般勘定で運用できることとしていますが、現時点ではキャッシュ50%、生保一般勘定50%となっています。

給付水準の減少が懸念された旧制度

なぜDBからリスク分担型に移行したのですか。

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