債券離れと株式抑制が広がるなか、リターンを求める投資家の視線は、オルタナティブ資産に向かっている。昨年末にはGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がオルタナティブ資産の運用委託先の拡充に動くなど、多くの機関投資家が債券・株の代替としてのオルタナティブ投資に本腰を入れ始めた。
低流動性ではインフラや私募不動産、プライベート・デットに関心
長引く低金利の影響で、ポートフォリオの大部分を占める国内債券の処理に頭を悩ませる機関投資家は少なくない。一時、国内債券の代替として米国債への投資が進んだが、日米金利差の拡大に伴うヘッジコストの上昇により米国債の投資妙味は薄れつつある。こうした環境下で各年金基金は債券や株式の代替としてオルタナティブ投資を本格化している。
J.P.モルガン・アセット・マネジメントの2018年実施の企業年金運用動向調査によると、国内債券や株式などの伝統資産のウエートが低下する一方、オルタナティブ資産が増加している(図表)。ベアリングスLLCのオルタナティブ投資EMEA責任者マネジング・ディレクターのアンドリュー・ゴッドソン氏は、「伝統資産と相関の低いオルタナティブ資産は、インカム強化だけでなくリスク分散にもつながる魅力的な投資対象だ」と強調する。
オルタナティブ投資に対するアプローチは、各機関投資家が抱える事情によってさまざまだ。野村アセットマネジメント運用部 兼 プロダクト・マネジメント部 シニア・プロダクト・マネージャーの石田雄士氏は、「グローバルに見ると、オルタナティブ投資のニーズは二極化の傾向にある。流動性を意識しつつミドルリスク・ミドルリターンの商品を好む傾向と、流動性を多少犠牲にしつつ安定したインカムを長期的に生む商品を選好する傾向の2つであり、その違いは負債構造やポートフォリオ構築上のポリシーに起因する」と話す。
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