金融業界の産業革命とも言われる「フィンテック」が日本でも盛り上がりを見せている。有力なベンチャー企業が誕生し、既存の金融機関が開発を本格化させるなど、地殻変動が起きつつある日本のフィンテックの現状などを関係者に聞いた。(工藤晋也、中澤智弥)
高度なシステムがあだに、投資スタンスも保守的
フィンテックという言葉が世界に広がるきっかけとなったのは、2008年のリーマン・ショックだ。米国や欧州の金融機関に対する不信感が世界中に広がる一方で、金融機関の機能を代替するサービスを提供するITベンチャー企業が台頭していった。これらのITベンチャー企業が提供するサービスは、金融サービスを享受する消費者に広く受け入れられるようになり、次第に“フィンテック企業” と呼ばれるようになっていった。
フィンテック企業の開発スピードは、重厚長大な金融機関に比べて速く、インターネットを介したサービスは個人から法人まで幅広い層に受け入れられることになった。フィンテック企業への投資額も右肩上がりに伸びている(図表1)。
フィンテック企業の代表的なサービスの一つが、レンディングクラブなどのオンライン融資だ。2015年末時点で米国内では約1000億ドルの規模にまで市場が拡大している。そのほかにも、クレジットカード決済のペイパルなど、欧米では大きな成功を収めているフィンテック企業が複数存在する。
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