原油価格動向に日本銀行も注視

T&Dアセットマネジメント浪岡氏
T&Dアセットマネジメント チーフ・ストラテジスト兼ファンドマネージャー
浪岡 宏

2022年は、ニューヨーク原油先物価格(以降は、全て「原油価格」とする)が、1バレル130ドルを一時的ながらも超す場面が見られ、注目を集めた。

2023年は、そうした高騰もなく穏やかな動きになるかと見られていたが、7月から9月にかけて上昇基調となり、一時は1バレル95ドルを上回る場面もあった。その後は下落基調をたどっているが、地政学リスク次第では再び上値を追う可能性も否定できず、価格動向は市場の関心を集めやすい。

特に、既往の原油価格上昇が、ここ数年の先進国の物価高騰をもたらし、いまだインフレリスクが燻(くすぶ)っているなかでは、中央銀行も目を離せないだろう。とりわけ、日本銀行は輸入物価上昇の価格転嫁による物価上昇圧力、すなわち「第一の力」について、植田総裁が上方修正を続けてきたことを認めたばかりであるから、より一層、注意して見ていると思われる。

WTI原油先物価格と見通し
WTI原油先物価格と見通し
注:2023年11月17日~2024年2月29日については見通し
出所:ブルームバーグよりT&Dアセットマネジメント作成

減退傾向にある米中の原油需要

ここでは、需給動向と原油先物およびオプション市場における投機筋の動向に分けて分析した上で、今後の予想と仮にその予想を前提とした場合に、FRB(米連邦準備理事会)の利上げにどのような影響が及ぶのか、私の見通しを述べたい。

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