今回は【もっと知りたい!債券】の第2回です。第1回では年金運用の「主食」債券投資の中でも、さらに中核と言える先進国国債への投資について、その意義などについて深掘りしました。今回は社債投資です。主に投資適格社債とハイイールド社債の違いにフォーカスを当て、ラッセル・インベストメントの金武伸治さんに解説していただきます。

社債投資は利回り強化が狙い

先進国国債は元本返済リスクが低いので「安全資産」として位置付けられるということ。そして①安定したクーポン(利息)収益②株式などリスク資産との逆相関性──という2点から「年金運用の守護神」と言える、というのが前回の学びでした。では、国債に次いで債券投資での比率が高い社債は、どういう位置付けになるのでしょうか。

金武 国債の性質が①と②であったことに対して、社債は①により重きを置いた投資対象、つまり債券資産における主要な利回りドライバーであると言えるでしょう。しかし、国債と比較して①の利回りが高くなる一方で、②の株式との逆相関性や分散効果は弱まることになります。また、投資適格社債の場合は利回りの上昇幅も比較的緩やかである分、株式との相関の高まりも緩やかになりますが、ハイイールド社債の場合は、利回りの上昇幅も株式との相関の高まりもある程度大きくなります。これは局面や時期によっても異なりますが、ざっくり言って、株式との相関について国債は逆相関、投資適格社債はおおむね無相関、ハイイールド社債は正相関という関係と言えるでしょう。

デフォルト率に大きな違い

社債の分類としては、IG(Investment Grade)と略称で呼ばれる投資適格社債と、利回りの高いハイイールド社債(HY: High Yield)がありますよね。ここの違いから教えていただけますか。

【図表1】投資適格社債とハイイールド社債の格付
格付
投資適格社債 BBB-/Baa3以上
ハイイールド社債 BB+/Ba1以下

出所:ラッセル・インベストメント作成

金武 【図表1】で示したように、投資適格社債とは、格付機関からBBB-/Baa3以上の格付を付与されている銘柄、ハイイールド社債とは、BB+/Ba1以下の格付を付与されている銘柄です。格付は、将来的な債務不履行つまりデフォルトの可能性について記号で区分したものなので、その違いはデフォルトの可能性と大きく関連してきます。デフォルトの発生のしやすさは、その時の景気サイクルや信用サイクルに大きく依存するため、デフォルト率も年によって異なりますが、平均的に投資適格社債のデフォルト率は0.2~0.3%程度以下です。一方、ハイイールド社債のデフォルト率は1%を超え、また低格付になるほどデフォルト率も格段と大きくなる傾向があるなど、投資適格社債とは大きな差があります。

そして、このデフォルト率の違いによって運用の手法も異なってきます。

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