近年、ESG(環境・社会・企業統治)を考慮した投資が急速に発展、普及してきましたが、足元では2021年に開催されたCOP26(第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議)での議論などを受け、資産運用の世界でもパリ協定の目標を意識した取り組みが進んでいます。本連載ではESG投資の中で現在、最も注目を集めている分野の一つである脱炭素投資を巡る様々な議論を紹介、解説していきます。第5回は、2023年3月に本邦において金融庁のESG投信に関する監督指針が改正されたことを受けて、各地域で進展しているESGファンドを巡る開示規制について概観したいと思います。
欧州のESGファンド開示規制
欧州のESGファンド開示規制については本連載の第3回でサステナブル・ファイナンス開示規制(SFDR)を概説しました。
SFDRの第8条を満たす商品が環境・社会的な特性を促進する”ライトグリーン”、第9条に該当する商品がサステナブル投資を目的とする“ダークグリーン”なプロダクトと理解されており、ファンド名称に関しては数値基準の導入が進められています。
具体的にはファンド名称にESG関連用語が含まれる場合、ポートフォリオの80%がESG特性を満たす、またはサステナブル投資であること、さらに追加基準として名称にサステナブル関連用語が含まれている場合はポートフォリオの50%がサステナブル投資である必要があります。
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