金融引き締め長期化観測浮上
米金利とドルは持ち直し
市場では、2022年秋にFRB(米連邦準備理事会)の利上げペース減速が市場に織り込まれ始め、米10年金利の上昇が同年10月をピークに一服し、これに合わせてドルの名目実効為替レートも下落基調に転じた一方、米国株価指数は持ち直しに転じていた。
もっとも2023年2月以降、1月分米雇用統計を始め、堅調な一部米経済指標が改めて確認されたあたりから、米経済の先行きに対する楽観的な見方が再び台頭した。新型コロナウイルスショック後の構造変化もあって堅調な労働市場や大規模な財政支援策の効果持続など、今回の景気サイクルで特有の要因も後押し。急速なFRBの利上げにもかかわらず、米経済はほとんど落ち込まないというノーランディング論も一部で浮上するに至った。
さらに高止まりする名目賃金上昇率とその影響を受けたサービス関連価格を背景に、インフレ率の下落が想定以上に緩慢になるリスクも警戒され始めた。市場はFRBが少なくとも6月まで利上げを継続するとともに、2023年内は政策金利を概ね据え置く可能性を織り込み始めている。これを受けて2月以降、再び米金利とドルは持ち直し、米国株価指数は下落基調に転じ始めている。
この記事は会員限定です。
会員登録後、ログインすると続きをご覧いただけます。新規会員登録は画面下の登録フォームに必要事項をご記入のうえ、登録してください。