日銀は2016年後半にも量的緩和の縮小開始か

クリス・ライト
Chris Wright
シンガポールを拠点に活動するフリーの金融ジャーナリスト。ユーロマネーやインスティテューショナル・インベスター、フィナンシャル・タイムズ、オーストラリアン・フィナンシャル・レビューなどで執筆。アジアマネーやオーストラリアン・フィナンシャル・レビューでは投資コーナー編集長を務めた。

FRB(米連邦準備理事会)は2015年12月16日に政策金利の年0~0.25%から0.25~0.50%への引き上げを決め、17日から実施した。2006年以来の利上げへの市場の反応は概ね好意的だった。米国金融政策の変更を踏まえて、2016年の日本を含む世界景気の動向を探ってみよう。

まず、欧州の金融政策が微妙に変わる可能性が考えられる。アライアンス・バーンスタインのエコノミスト、ガイ・ブルトン氏はこうコメントする。

「ユーロ圏では堅調な成長と低インフレの二極化が進行しており、ECB(欧州中央銀行)が『あらゆる手段を講じる』(マリオ・ドラギ総裁)としてきた量的緩和策のニュアンスが微妙に変化するかもしれない。その兆候はすでにある。2015年12月3日のECB理事会で決まった追加金融策は予想されたほどの内容ではなく、市場は失望した」

日本についても、ブルトン氏は、日本銀行が2016年後半に量的緩和策の縮小(テーパリング)に踏み切るかもしれないという。日欧が量的緩和策の見直し、つまり金融正常化に転じれば、その影響は他の経済にもおよぶことになる。「全体として成長・インフレのさらなる下方リスクが高いアジアやオーストラリアでは緩和政策の継続か、場合によってはさらなる緩和が予想される」というのがブルトン氏の見方だ。

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