経済指標を読み解く 5カ月連続前月比上昇が期待される10月分鉱工業生産指数
9月分前月比は4カ月連続上昇。3月分以来の指数水準
鉱工業生産指数・2020年9月分確報値・前月比はプラス3.9%と4カ月連続の上昇になった。2月から5月まで4カ月連続して前月比低下と、新型コロナウイルス感染症の影響で生産活動は停滞したが、6月以降は順調に回復してきた。ただし、季節調整値の水準は91.5と3月の95.8以来の水準だが、2020年1月の99.8より8.3ポイント低い水準だ。
9月分鉱工業生産指数・確報値では、輸出の伸びが大きかった自動車工業の上昇が前月比プラス11.5%と大きく、次いで生産用機械工業(前月比プラス11.3%)、電気・情報通信機械工業(前月比プラス5.0%)などが上昇に寄与した。16業種中、13業種が前月比上昇、3業種が前月比低下だった。
10月分の基調判断は「生産は持ち直している」で据え置きか
速報値公表時に毎月発表される経済産業省の基調判断は、緊急事態宣言が発動されていた2020年4月分・5月分では「総じてみれば、生産は急速に低下している」であったが、6月分で「生産は下げ止まり、持ち直しの動きがみられる」に上方修正された。7月分では、下げ止まりが外れ、「生産は持ち直しの動きがみられる」となった。さらに8月分では、「生産は持ち直している」に上方修正され、9月分で据え置きになった。
10月分でも、「生産は持ち直している」で据え置きになる可能性が大きそうだ。
10月分の鉱工業生産指数(速報値)の前月比はプラス3.3%程度か
2020年10月分の鉱工業生産指数(速報値)の前月比はプラス3.3%程度の上昇を予測する。5カ月連続の前月比上昇になろう。
製造工業生産予測指数10月分は前月比プラス4.5%の上昇である。一方、過去のパターンなどで製造工業予測指数を修正した経済産業省の機械的な補正値でみると、10月分の前月比は先行き試算値最頻値でプラス1.4%の上昇、90%の確率に収まる範囲はマイナス0.2%の下落~プラス3.0%の上昇になっている。
財務省の貿易統計10月分速報値で輸出数量指数(季節調整値)は前月比プラス7.6%の増加になった。日銀の実質輸出10月分は前月比プラス4.5%の増加である。
10月の景気ウォッチャー調査・製造業・現状水準判断DI(季節調整値)は34.3と9月の30.0から上昇、5月の15.8を底に5カ月連続の上昇となった。これらの情報を総合的に判断し予測した。
足元の日本の景気は水準自体まだ低いものの方向的には持ち直していると、マーケットが受け止める材料になろう。
新型コロナウイルス感染拡大第3波が懸念される状況下で、これまで持ち直し傾向にある輸出や生産などの11月・12月の動きが注目される。こうした点から、製造工業生産予測指数の動向も注目されるだろう。