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ユーロ圏周縁国ソブリン債の投資妙味

グローバルマーケット統括本部 副会長
チーフクレジットストラテジスト
チーフESGストラテジスト
中空 麻奈
欧州投資家は一連の米国の不透明さを背景に、ユーロに資金をシフトさせているという。日本の投資家も同じく、一部はユーロに、一部は円に戻しつつあるという。もっとも、今がどれほどおかしな事態だとしても、基本のドル安定性が揺らぐとは考え難いことから、過度なシフトにはならないのではないか、と筆者は考えている。米国およびドルを完全に他の資産にシフトさせることなど、しょせん無理だからだ。
とはいえ、そうしたドルからのシフトという観点とは別に、周縁国ソブリン債の景況感・財政状況からスプレッドのタイト化が加速する可能性がある点も注目に値しよう。ユーロ圏への投資は密かに魅力を増している。
ユーロ圏現状認識
目先は冴えない景況感と、特にドイツやフランスといった大国の財政環境の悪化により、一部には債務の持続可能性を巡る懸念が高まるとの見方がある。各国政府は軍事支出の拡大に動いており、ドイツはGDP(国内総生産)の11%前後に達する規模のインフラ投資計画を進めている。
当然だが、歳出が拡大するに伴い、この新たなパラダイムが財政面で脆弱な国に対する圧力を強めることになるのではないかとの懸念も一段と高まろう。どちらかというと財政弛緩により、格下げ懸念が残り、投資対象としては難しさを伴う。
イタリア・スペインに注目
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