この連載では債券、次に株式を採り上げ、基礎的なところから、やや応用編的な範囲までラッセル・インベストメントの金武伸治さんに学んできました。この間、読者の方々から質問が寄せられ、特に関心が高いのが①ベンチマークの仕組みや有効性②パッシブとアクティブの違いーーの2つでした。いずれも債券、株式に共通したテーマですので【債券・株式共通番外編】として今回から3回、金武さんに伺っていきます。共通番外編の第4回は「マーケット温故知新」と題して、金融市場全体が過去に経験した大きなショックについて解説を予定しています。

ベンチマークの利用法は2種類

私が企業年金基金で資産運用を担当して最初に違和感を覚えた用語が「ベンチマーク」でした。運用会社の商品説明や四半期報告で「前月比マイナスですが、対ベンチマークではプラスです」といった説明を受けて、「マイナスなのにプラスなの?」と戸惑った記憶が鮮明です。

金武 まず、基本概念からおさらいしましょう。ベンチマークとは投資対象の国別構成や業種構成などの特性を把握する際や、リターンやリスクなどのパフォーマンスを計測する際に利用される銘柄構成のことです。

例えばMSCI Worldインデックスは、先進国の大型株式銘柄を組み入れの対象として、時価総額の比率で構成されています。

機関投資家が主に採用するベンチマークには【図表1】のように、大別して2種類の利用法があります。

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