石破政権と日中関係の行方
アジア版NATOに言及した石破氏
10月1日、岸田政権が総辞職し、石破政権が新たに誕生した。そして、中国の習近平国家主席も石破氏に祝電を送ったと国営メディアが報じ、習氏は日中が平和共存、共同発展の道を歩むことは両国民の根本的利益と合致しており、両国が歩み寄り、新時代の要求を満たす建設的で安定した日中関係の構築を期待するとのメッセージを送った。しかし、石破政権下でも日中関係には不穏な空気が漂い続けることだろう。
中国は、石破政権の安全保障政策に強い懸念を抱いていると思われる。その1つが、アジア版NATOの提唱だ。石破氏は9月27日付の米シンクタンク「ハドソン研究所」への寄稿で、中国による核戦力の増強、核技術を中心とするロシアと北朝鮮の軍事協力の強化などに懸念を示し、中露朝に対抗する抑止力を確保する必要性に言及し、アジア版NATOの創設が不可欠だと指摘した。
アジア版NATOについては様々な議論が起こり、米国主導のハブ・アンド・スポーク型の安全保障体制から加盟国間で相互防衛体制を敷くことが念頭にあると思われるが、それが中国を念頭に置いた構想であることは疑いの余地はない。中国自身もそれが自らに向けられたものであることを認識しており、今後は石破政権がどこまで本気でそれに尽力するかを見極めることだろう。
日中の不穏な空気感は変わらずか
また、石破氏は日米同盟を米英同盟並みに強化し、日米安全保障条約や日米地位協定を改正するなどし、米領グアムに自衛隊を駐留させることを提案しているが、こういった米軍と自衛隊の一体化を進める姿勢に中国は神経を尖らせることだろう。こういった石破政権の姿勢によって、日中関係がさらに冷え込む方向へ向かうことは避けられないだろう。
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