学校法人・金融法人の担当者必見!機関投資家ゼロからの資産運用 【株式編・第6回】エマージング株〜高い成長率と経済発展が魅力、一方で留意点も
前回の【第5回】「日本株とグローバル株」では、地域による分散投資を進めることによって株式のリターン効率を高める効果があることを、ラッセル・インベストメントの金武伸治さんに教えていただきました。今回は「エマージング株」。いわゆる新興国の株式です。
「エマージング」の定義さまざま
前回の最後で金武さんは「今回は先進国株式を中心に考えてきたが、真のグローバル株式化という意味では、エマージング株式投資についても考え方を整理する必要がある」と指摘しておられました。そうした観点でいろいろ伺っていきたいのですが、まず「エマージング国」の定義を教えてください。
金武 実は「エマージング国」に分類するための明確な基準や定義は存在していません。例えば代表的なエマージング株式インデックスであるMSCI EM (Emerging Markets) Indexの場合、主に1人当たりGDP(国内総生産)が一定以下の国をエマージング国とみなしています。
一方で代表的なエマージング債券インデックスであるJ.P. Morgan GBI-EM (Government Bond Index – Emerging Markets)の場合は、1人当たりGNI(国民総所得)が一定以下の国をエマージング国としています。
さらに市場インデックスとしては、「投資が可能であり、模倣できること」が重要となります。ここで「模倣」とは、同様な特性を持つポートフォリオが構築できること、といった意味です。例えば市場インデックスの国別構成比や業種構成比、その他のリスク特性などがポートフォリオで再現できることです。このため、市場規模や流動性、決済システム、外国人投資家規制、資本規制などが一定の水準に達しているか否か、といった組み入れ基準も加わります。
いずれにしても、所得水準や経済規模が成長途上にあるということですから、企業の成長を主な収益源泉とする株式投資においては、意義ある投資対象と言えるでしょう。
GDP2位の中国も「新興国」
GDPが米国に迫っている中国や、人口が世界最多になったインドなど経済規模や人口などで大国と言える国々も「新興国」。こうした分類には以前から大きな違和感があります。
この記事は会員限定です。
会員登録後、ログインすると続きをご覧いただけます。新規会員登録は画面下の登録フォームに必要事項をご記入のうえ、登録してください。