来週を考える|The Week Ahead 世界の注目集めるFRBの動き2024年9月13日(金)配信号
世界中の投資家が米国を注視しています。米国経済はまだ好調なのでしょうか、それとも冷え込みつつあるのでしょうか。米連邦準備制度理事会(FRB)は、利下げを実施するでしょうか。大統領選挙は、市場にどう影響するでしょうか。これらは、世界に影響を及ぼす重要な問いとなっています。
まず、状況を明確にすると、弱気の投資家は、米国債のイールドカーブが過去最長となる700日近くにわたり長短逆転していることを指摘するかもしれません。これまでの米国のリセッションはたいてい、逆イールドが先行して生じているため、これは警戒すべき前兆と言えます。
過去の経験から導き出されたこの景気の判断指標が間違っていることはありえるでしょうか。それは、後になってみなければ分かりません。今のところ言えるのは、米国経済はまだそこそこのペースで拡大しているということです。実際、広く注目されているアトランタ連銀の国内総生産(GDP)追跡モデル「GDPナウ」によれば、今四半期のGDP成長率は、米国の消費者による堅調な下支えを受け、このまま行けば2.5%前後となる見込みです。
リスクのバランスは、勢いが続くことを示唆しています。雇用は減速していますが、一時解雇は歴史的な低水準にあり、また、インフレ調整後の賃金は上昇しているほか、求人数は依然として失業者数を上回っています。
このことは、消費者の底堅さを説明する役割を果たします。十分な雇用機会があるため、米国の平均的世帯がリセッションに備える必要はそれほど大きくありません。たしかに、クレジットカードの延滞率上昇など、懸念される事象はありますが、端々で弱さが見られることは珍しくなく、他の重要な消費者信用の分野、特に住宅ローンは健全であるように見えます。
一般的なアメリカの家庭が暮らしに困窮しているなら、航空旅行のような自身の判断で決められる「裁量的」な分野に現れるのではないでしょうか。では、実際の航空旅行の現状がどうかというと、先だってのレイバーデーの連休中、米国の空港の保安検査を通過した乗客の数は、7月4日の独立記念日の週末に記録した過去最高に近い数字となりました(「今週のチャート」を参照)。
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