非上場のオープンエンド型不動産投資信託の私募REITは、日本国内では2010年のスタート以来、金利が低下した外国債券などの代替資産として市場を拡大してきた。投資方針をみると、主流の総合型以外にも住宅や物流といった特化型の銘柄も登場している。市場の景況感や展望について関係者に聞いた。
住宅などの特化型が増加、換金手段の大半は「譲渡」
国内の私募REITは2010年11月の第1号ファンド運用開始以降、マーケット規模が着実に拡大している。運用資産規模は2018年9月末時点で約2.8兆円、28銘柄まで増加した。投資方針カテゴリーの85%は総合型だが、銘柄数の増加に伴って、数年前から住宅や物流、底地などの特化型銘柄が登場した。28銘柄の投資対象の内訳は、オフィスビルが46%、賃貸住宅が20%、商業施設が13%、物流施設が16%、その他5%となっている。
■日本国内の私募REITの資産規模推移
不動産運用商品は、一般的に株式や債券などの伝統的な運用資産との相関性の低さや賃料による安定的なインカムゲインなどが着目される。しかし、2008年のリーマン・ショックによる金融収縮局面においては、J-REITや不動産私募ファンドが相場の影響を色濃く受けてしまい、機関投資家などの期待に応えられないパフォーマンス結果となった。
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