堅実なリターン獲得とサステナビリティ貢献の観点から、日本の機関投資家の耳目が集まるインフラ投資。来日したM&Gインベストメンツのインフラ投資部門「インフラキャピタル」を指揮するマーティン・レノン氏に、欧州インフラ投資の魅力や注目テーマについて聞いた。(取材日:2023年2月2日)

膨大な資金ギャップを背景に
長期的な投資機会が予想される

M&Gインベストメンツ ヘッド・オブ・インフラキャピタル マーティン・レノン氏
M&Gインベストメンツ
ヘッド・オブ・インフラキャピタル
マーティン・レノン

足元の欧州のインフラ投資環境は。
レノン 欧州のインフラ投資市場はここ20年で著しい拡大を見せた。重要な牽引要素は複数あるが、「資金ギャップ」はその一つだ。新たなインフラを建設するのに膨大なコストがかかるのはもちろん、既存のインフラを使い続けるためにも、多額のメンテナンス費用が必要になる。欧州全体では、2050年までに10兆ユーロ規模の資金需要が発生するとの予想があるが、政府や公的機関だけでは、その資金需要は十分に賄いきれない。そのギャップの存在が、インフラ関連のプライベート資産に、中長期的かつ巨大な投資機会を生み出している。

さらに社会・投資家がよりサステナビリティを重視するようになったことや、テクノロジー利活用の浸透など、インフラに対して高度かつ多様なニーズが生まれていることも市場の拡大に寄与している。特にエネルギーや通信関連セクターでよりエンドユーザーに近い部分までインフラの役割が拡大している「decentralization」が進行していることなどのマクロ要因も、機会拡大の追い風として見逃せないポイントだ。

また欧州では現在、高いインフレ率が観測されているが、欧州インフラは元来、物価上昇への耐性が高いと言われていることから、投資家からも欧州インフラ資産への投資機会への関心が高まりつつある。

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