2023年の注目トレンドは「生物多様性」にCOP15からのインプリケーション
COP15の成功が気候変動の後押しに
エジプトで行われたCOP27(第27回国連気候変動枠組み条約締約国会議)に比べ、あまり話題にならないCOP15(国連生物多様性条約締約国会議)はカナダで行われ、12月19日に閉幕した。ロシア・ウクライナ問題がある中、気候変動やESG(環境・社会・企業統治)投資は現実とのバランスをとるため後退する可能性もゼロではなかったが、それでもCOP27 に続いてCOP15が成功裡に終了したことで、世界中の気候変動の後押しがなされたと解釈することができる。今回は、このあまり目立たないCOP15の総括とそこからのインプリケーションを整理しておく。
「2030年ミッション」として「地球と人類の恩恵のために生物多様性を回復の軌道に乗せるため、緊急な行動を社会全体で起こす」ことを掲げ、22の行動目標を設定している。ただし、この環境省の資料には記載がないが、ターゲット22として「生物多様性保全と利用に生じる利益を公正かつ公平に分配」が含まれることになっているのを付け加えておく。
国ごとのスタンスの違いで、22のターゲットのうち合意は2つだけ
COP15の第二部で採択された国連主導の「ポスト2020生物多様性枠組」は、2020年代末までの新たな野心的展望を示し、向こう数年間の各国の政策に影響を与えるものだ。各種の明確な目標は民間部門主導によるイニシアチブの有効なテンプレートになるものであり、この分野における企業の活動を加速させる役割を果たすことになる。世界の生物多様性の大部分は新興国に集中しているため、調達した資金を各地域にどのような形で再配分するかが焦点になり、サプライチェーンと輸入を通じた間接的エクスポージャーが精査されることになる。
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