UBSアセット・マネジメント 企業活動が社会に与える「インパクト」の測定方法を開発
UBSアセット・マネジメントのサステナブル&インパクト・インベストメント部門リサーチ責任者のクリストファー・グリーンウォルド氏が来日した。同社のESG(環境、社会、ガバナンス)投資への取り組みについて聞いた。(取材日:2019年4月8日)
ESG投資の現状をどう見る。
グリーンウォルド 世界で2000以上の機関投資家が国際連合の責任投資原則に署名しており、ESG関連資産は80兆ドル(約8800兆円)を超えた。個人投資家も関心を強めており、とくにミレニアル世代では約70%がESG投資に興味を抱いている。
ESGの取り入れ方としては、企業と積極的に対話する「アクティブ・エンゲージメント」が主流となりつつある。
UBSもESGに注力している。
グリーンウォルド トップダウンの試みとして2015年から取り組んでおり、すべてのアクティブ運用にESGを取り入れている。また、ESG関連ETF(上場投資信託)の運用総額は50億ドル(約5500億円)と欧州最大規模だ。2019年1月には欧州市場上場のETFを主な投資対象とした、新たなESG投資信託の運用を日本でも開始した。今後は日本の個人投資家にも、手軽なESG投資の機会を提供していきたい。
加えて、ハーバード大学などとの協働研究を通し、企業活動が社会に与える影響(インパクト)の測定方法を開発した。二酸化炭素の排出削減量など企業が公表する社内的な活動の情報に加え、販売する製品やサービスがどれだけ社会に貢献しているかなどの影響を測定・数値化して投資判断に役立てている。この「インパクト投資」でも当社は先進的であると自負している。
最後に読者へのメッセージを。
グリーンウォルド ESGを取り入れるとパフォーマンスが下がるのではないかという懸念は根強い。しかし最近の調査の約9割は、ESG要素の加味は長期的に中立あるいはプラスの効果を生むとしている。ESGは選択肢を狭めるものではなく、むしろ幅広い情報を取り入れる優れた手法といえる。