ドル独歩高の現状では金融政策修正の可能性は低い
日米金利差が拡大し円安が進行しているにもかかわらず、頑なに金融緩和を続ける日銀。その政策態度については、マスコミ報道を中心に「米国は大幅利上げ、日本は金融緩和。円安によって輸入物価が上昇し、個人消費を圧迫しているのにいつまで金融緩和を続けるのか、なぜ利上げして円安を止めないのか」との批判が強まっている。
2022年7月の円建て輸入物価は前年比プラス48.0%と記録的な上昇率だった。契約通貨ベース(≒輸入元の現地価格)の上昇率はプラス25.4%であったから、伸び率の約半分は円安による押し上げだったことになる(図表1)。日銀に批判の矛先が向いてしまうのは仕方がない。
【図表1】日本の輸入物価は記録的な伸び率
「おカネは金利の低い通貨から高い通貨に流れる。ゆえに利上げ見通しが生じるとその国の通貨は高くなる」。こうした説明はその分かりやすさもあり頻繁に登場し、また現在それが材料視されていることにも疑いの余地はない。ただし、より重要な事実として、過去に為替と日米金利差の関係が希薄だった時期が多くあり、また後述するように現在の他国では、内外金利差と為替に関係が見られないことも認識しておく必要がある。
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