機関投資家と言えば運用のプロと一般的には考えられているが、関連部署の人材を配属させる企業もあれば、運用とは無関係のセクションから担当者を異動させる企業もある。経験が浅い担当者の参考に、巨額の資金を動かす機関投資家として知っておきたい運用の基本や組織としての考え方、サポート機関との連携の仕方などを有識者や実務者に聞いた。

【1】企業年金基金の担当者が押さえたい基本
ポートフォリオ構築は1日にして成らず。過去の取り組みの把握は収益享受のカギ

三菱UFJ信託銀行
三菱UFJ信託銀行
受託運用部
フェロー
岡本 卓万氏(左)
年金運用部
業務推進グループ
ポートフォリオマネージャー
中山 理恵氏(中央)
年金運用部
運用プランナーグループ
シニア運用コンサルタント
林 匡史氏(右)

企業年金基金の運用担当者は、DB(確定給付年金)の場合は財務部や経理部から、DC(確定拠出年金)の場合は人事部や総務部から配属されるケースが多い。本業とは異なる年金管理業務は、担当者によって難易度の高い局面もあるだろう。年金運用の基本は、①運用目的・目標、②中長期目線、③分散投資、④受託者責任(=プロセス責任)──の4つがポイントとなる。

三菱UFJ信託銀行 年金運用部 業務推進グループ ポートフォリオマネージャーの中山理恵氏は、「年金運用の目的は中長期的に安定した年金給付をしていくこと。短期的な変化に一喜一憂するのではなく、何を目標に中長期で運用していくかの視点が欠かせない」と話す。

受託者責任を全うするには、運用目標を定め、それに対応する中長期的な政策アセットミックス(資産構成割合)を設定し、実践ポートフォリオを構築して、運用を評価する一連のPDCAを回すことで、プロセス責任を果たしていくことが重要だ(図表)。

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