低金利環境が続くなか、年金基金などの機関投資家の間では、伝統的な資産とは異なる値動きが期待できるオルタナティブ資産へのニーズが高まっている。しかしオルタナティブ投資には高い専門性が求められるため、インハウス運用は難しいのが現実だ。そこで関心を集めているのが、目聞き役としての「ゲートキーパー」だ。付き合い方を関係者に聞いた。
運用総額や管理コストなどを勘案し、国内外に拠点を持つ委託先の選定を
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は2017年末、「様々な運用手法の情報収集を迅速に行い、より柔軟に運用機関の選定を行うこと」を目的にオルタナティブ資産の運用委託先募集を開始した。2018年8月現在、インフラストラクチャーで5社、不動産で1社の委託先を選定した。このような運用委託先は「ゲートキーパー」と呼ばれ、流動性の低さや情報の非対称性などの障壁があるオルタナティブ投資の台頭とともに、年金基金など機関投資家の間で関心を集めている。現在、プライベート・エクイティ(PE)や不動産、高利回りのレバレッジド・ローンといった資産での運用においてニーズが多いようだ。
ゲートキーパーには、大きく分けて2つのタイプがある。ファンド・オブ・ファンズのマネージャーとしてファンドの選定から運用までを行うタイプと、投資家ごとにカスタマイズしたポートフォリオを提供するアドバイザータイプだ。後者はさらに、投資一任型と助言のみを行うタイプに分けられる。
ファンド・オブ・ファンズ型は複数の投資家に同一のポートフォリオ(ファンド)を提供することが特徴だ。いくつかの投資家の運用資金が1つのポートフォリオに集められるため、それぞれの投資家の運用金額が小さくても、大口案件や幅広い案件へ投資できる。比較的少額の運用を検討しているケースや、効率よく分散性の高いポートフォリオを組みたい場合などに適した委託先といえるだろう。一方のアドバイザー型の魅力は、やはりテーラーメイドのポートフォリオにある。投資家ごとのニーズに合わせた、柔軟できめ細やかな運用が可能だ。
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