指数に連動したリターンを目指すパッシブ運用の拡大により、市場平均を上回るアルファ(超過収益)を狙うアクティブ運用に逆風が吹き荒れる。アクティブの逆境はこのまま続くのか。それとも復権の可能性はあるのか─。アクティブの存在意義や今後の行く末などをアクティブハウスのトップが語り合った。(取材日:2018年3月30日)
パッシブの偏重は株価形成に悪影響を与える
大塚 パッシブ運用の存在感が増すなかでアクティブ運用を取り巻く環境はどうか。
八木 運用の本場である米国では、パッシブの広がりを受けて、アクティブに対するフィーの引き下げ圧力が高まっている。しかし、エッジの効いたアクティブ投資をしている運用チームは、フィーの引き下げ競争に巻き込まれることなく、これまでの水準を保っている。フィーが高くてもパフォーマンスが伴っていれば、引き下げの圧力がかからないのだろう。
岸本 2017年の欧州ファンド市場の資金流入量は前年比9%増で、ETFを含むパッシブファンドは18%の資金流入となった。
資金流入の増加率だけを見るとパッシブファンドが優勢に見えるが、パッシブファンドが欧州ファンド市場全体に占める規模は16%程度に過ぎず、アクティブファンドが優勢であることに変わりはない。ただし、株式型のパッシブファンドのシェアは、2017年の1年間で24%から26%に伸びている。株式型ではパッシブファンドのシェア拡大は顕著といえる。
高橋 アクティブハウスの一社として、アクティブに対する誤った認識が広がっていることに懸念を持つ。その一例が「アクティブのパフォーマンスは、パッシブに劣後する」というものだ。アクティブのパフォーマンスがパッシブより高いことを示すデータもあり、欧州には安定的に超過収益を創出しているアクティブマネジャーも少なからず存在している。
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