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クォンツ運用をおもふ【第1回】 データだけではなく、マーケットドリブンのルール作りを
連載の主旨
クォンツ運用者は自身の運用哲学に基づいて学術的な数理科学の側面を踏まえた運用ルールを構築し(以降、「ルール作り」と呼ぶ。また本稿における「ルール作り」とは、ルールに内在するパラメータ推定などを含む広義的な言葉として用いることを事前に断っておく)、収益性の高い運用戦略・戦術の策定を目指す。
ところで、「クォンツ運用のルール作り」に対して悪印象を持つ人は少なくない。このような印象を持つ背景には、「①バックテストを通じて戦略の有効性を確認できていたものの、実運用期間で痛い目を見た」「②ルール作りにフォワードルッキング要素がないため、未曾有の事態に対応できない」などいくつかの問題がある。
私は、ルール作り次第で①・②いずれの問題も解消あるいは緩和できると考えている。本連載が、前述の誤解を解し、クォンツ運用が読者の身近な存在になる一助となれば幸いである。
「ルールが機能しない」に注意
マーケットで利益を出すためには、市場参加者の気持ちを読み解きながら、レンジ相場(※1)とトレンド相場の見極めができれば十分である。さはさりながら、この見極めは容易でない。
そこでクォンツ運用者は、直接的な先の見極めを目指すルール作りだけでなく、相場の過熱感などを定量的に評価しリスク量を自動調整するルール作りや、ポートフォリオ組成の上で重要なリスク・リターンの予測精度向上を目指したモデル改良に勤しむ。初回のテーマとして本稿では、「クォンツ運用のルール作りの在り方」を取り上げる。
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