大企業・業況判断DIはプラスにはなろうが、2021年12月調査より鈍化か

宅森 昭吉
三井住友DSアセットマネジメント
理事 チーフエコノミスト
宅森 昭吉

2022年4月1日にマーケットが注目する重要国内経済指標である日銀短観(全国企業短期経済観測調査)の3月調査が発表される。今回の回答期間はロシアのウクライナ侵攻が始まった2022年2月24日から3月31日で、多くの回答が集まる回収基準日は同年3月11日である。

新型コロナウイルスの第6波の影響という内憂に加え、ロシアのウクライナ侵攻という外患を企業がどう判断するか、さらに業種により影響の違いが出るかなどが注目される。

マーケットが最も注目するのは「業況判断DI(ディフュージョン・インデックス)」がどうなるかだ。業況判断DIは「良い」「さほど良くない」「悪い」という3つの選択肢の中から1つを回答してもらい、「良い」の回答社数構成比から「悪い」の構成比を引いて算出する。プラスのDI は「良い」超であることを意味する。

「良い」・「悪い」という水準を質問していて、「良くなる」・「悪くなる」という方向性を質問していない点が、他の企業の景況感に関する調査とは違う。また、中間の項目が「ふつう」ではなく「さほど良くない」である点にも注意が必要である。

大企業・製造業の業況判断DIは2021年では4四半期の調査の全てでプラスになり、同年12月調査ではプラス18だった。2022年3月調査でも5四半期連続のプラスにはなるだろうが、2021年12月調査よりは鈍化するとみられる。

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また、大企業・非製造業の業況判断DIは2021年6月調査以降の3四半期でプラスになり、同年12月調査ではプラス9まで上昇した。2022年3月調査でも4四半期連続のプラスにはなるだろうが、2021年12月調査よりは鈍化するとみられる。

2021年12月調査から悪化した2022年3月調査QUICK短観、ロイター短観

QUICK短観、ロイター短観は月次で企業の業況判断を調べている。質問も方向性ではなく水準について調べている。日銀短観対象企業の一部に対する類似調査なので、日銀短観の予測に役立つ。

2022年3月15日に発表されたQUICK短観3月調査の調査期間は、2022年3月1日から3月10日である。製造業の業況判断DIは2021年12月調査のプラス19から6ポイント低下しプラス13となった。また、非製造業の業況判断DIは2021年12月調査のプラス22から4ポイント低下のプラス18となった。

2022年3月16日に発表されたロイター短観3月調査の調査期間は、2022年3月2日から3月11日である。同年3月調査400社ベースの製造業の業況判断DIは2021年12月調査のプラス22から14ポイント低下しプラス8になった。

【図表】日銀短観・ロイター短観(400社ベース)・QUICK短観:大企業の業況判断DI比較

図表

※日銀短観2022年3月調査は筆者予測値
(出所)日本銀行、トムソン・ロイター、QUICK

「先行き見通し」についてみよう。まず、QUICK短観3月調査の製造業の2022年6月までの「先行き見通し」はプラス10で2022年3月実績のプラス13より3ポイント低下の見込み、非製造業の2022年6月までの「先行き見通し」はプラス20で2022年3月実績のプラス18から2ポイント改善予想である。

一方、ロイター短観3月調査の2022年6月までの「先行き見通し」は、製造業・400社ベースでプラス11と2022年3月実績のプラス8から3ポイント改善の見込みである。非製造業・400社ベースの2022年6月までの「先行き見通し」はプラス10と、2022年3月実績のマイナス1から11ポイントの改善の見込みである。

大企業・製造業・業況判断DIはプラス8程度、非製造業DIはプラス3程度を予測

2022年3月調査の日銀短観では原材料価格の上昇と部品の供給制約に加え、調査票送付日の2022年2月24日に発生したロシアのウクライナ侵攻の世界経済に対する悪影響への懸念により、大企業・製造業の業況判断DIがプラス8程度と2021年12月調査のプラス18から10ポイント程度低下すると予測した。2021年3月調査のプラス5以来の低水準である。

また、大企業・非製造業の業況判断DIはプラス3程度と、こちらは2021年12月調査のプラス9から6ポイント程度低下するとみた。まん延防止等重点措置発令の影響が出るとの見立てだ。

日銀短観の大企業・業況判断DIの2022年6月までの「先行き見通し」は、QUICK短観やロイター短観などを参考にして、製造業は2022年3月実績比変わらずのプラス8程度、非製造業は2022年3月実績比7ポイント程度の改善のプラス10程度と予測した。

日銀短観2022年3月調査の中小企業の業況判断DIは製造業がマイナス5程度、非製造業はマイナス6程度になると、景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DIなどを参考にして予測した。どちらも2021年12月調査よりは悪化するとみた。

日銀短観の設備投資計画の予測には、他の設備投資計画調査、景気ウォッチャー調査から作成する設備投資DIや、過去の修正パターンなどを参考にした。

2021年度の大企業・全産業の設備投資計画は前年度比プラス5.6%程度と予測した。2021年12月調査の同プラス9.3%から増加率が鈍化しよう。2022年度はプラス1.2%程度と予測した。

2021年度の中小企業・全産業の設備投資計画は前年度比プラス5.5%程度と、2021年12月調査の同プラス5.1%からやや上方修正されると予測した。中小企業の設備投資計画は例年3月調査が弱く、その後は1年後の3月調査まで調査の度に改善していく傾向がある。2022年度はマイナス14.6%程度と予測した。