3月調査・日銀短観は、持ち直しを示唆する他の統計に続く明るい内容か

宅森 昭吉
三井住友DSアセットマネジメント

理事 チーフエコノミスト

宅森 昭吉

国内景気の持ち直しを示唆する統計がこのところ散見される。2021 年1月の景気動向指数では先行CI(コンポジット・インデックス)が前月差プラス1.4で2カ月ぶりの上昇、一致CIはプラス3.5で3カ月ぶりの上昇になった。一致CIを使った景気の基調判断は、事後的に判定される景気の谷が、それ以前の数カ月にあった可能性が高いことを示す「上方への局面変化」に上方修正された。2020年5月頃を谷として景気は拡張局面に入っている可能性が高いことを裏付ける動きと言える。

2021年2月の景気ウォッチャー調査で、現状判断DI(ディフュージョン・インデックス)は前月差10.1ポイント上昇の41.3となった。先行き判断DIは前月差11.4ポイント上昇の51.3となった。内閣府の判断は「景気は新型コロナウイルス感染症の影響による厳しさは残るものの、持ち直しの動きがみられる。先行きについては、感染症の動向を懸念しつつも持ち直しが続くとみている」と、現状の景気を「新型コロナウイルス感染症の影響により、このところ弱まっている」としていた1月から上方修正した。

これからの債券投資を考える

3月調査の日銀短観も景気の持ち直しを示すかどうか注目を集めている。まず、前回12月調査の内容を振り返ってみよう。

2020年12月調査の日銀短観では、大企業・製造業・業況判断DIは新型コロナウイルスの感染拡大の影響で経済活動が大幅に停滞し、景況感が急速に悪化した6月調査から2四半期連続改善したものの、マイナス10と依然2ケタのマイナスになった。

大企業・非製造業・業況判断DIはマイナス5で前回から7ポイント改善するも、3四半期連続マイナスになった。ただし、雇用や設備の判断DIで過剰感が拡大しなかった点は景気の底堅さを示す材料だった。

3月調査QUICK短観、ロイター短観などからみた日銀短観予測

2021年3月調査の日銀短観では、大企業・製造業の業況判断DIがプラス2程度と12月調査のマイナス10から12ポイント程度改善すると予測する。調査期間に新型コロナウイルスの感染拡大防止のため緊急事態宣言が発出された時期を含み、食料品など芳しくない業種もあろうが、足元の輸出持ち直し生産増加基調継続という経済活動回復の効果が出て、12月調査より製造業全体としての景況感は改善しそうだ。また、大企業・非製造業の業況判断DIはマイナス2程度と、こちらは12月調査のマイナス5から3ポイント程度と依然マイナスになるもののやや改善するとみている。

2021年3月調査日銀短観の大企業に関する予測には、日銀短観DIと連動性が高いQUICK短観やロイター短観などが参考になる。

【図表】日銀短観とロイター短観(400社ベース),QUICK短観。(大企業)の業況判断DI比較

図表

図
(出所)日本銀行、トムソン・ロイター、QUICK

3月15日に発表されたQUICK短観3月調査の調査期間は3月1日から3月10日である。製造業DIは12月調査のマイナス4から8ポイント改善しプラス4となった。また、非製造業DIは12月調査のプラス5から4ポイント改善のプラス9となった。

一方、3月17日に発表されたロイター短観3月調査の調査期間は3月3日から3月12日である。3月調査400社ベースの製造業の業況判断DIは12月調査のマイナス9から15ポイント改善しプラス6になった。3月調査200社ベースの製造業の業況判断DIは12月調査のマイナス13から24ポイント改善しプラス11になった。

3月調査400社ベースの非製造業DIは12月調査のマイナス4から1ポイント悪化しマイナス5になった。しかし、3月調査200社ベースの非製造業の業況判断DIは12月調査の0から3ポイント改善しプラス3になった。

大企業・中小企業、製造業・非製造業の4つのカテゴリーとも改善

日銀短観の中小企業の業況判断DIの予測には、景気ウォッチャー調査・企業動向関連の現状水準判断DIなどが参考になる。

景気ウォッチャー調査・企業動向関連の現状水準判断DI・季節調整値の最近の推移は製造業が2020年9月調査29.5、10月調査33.3、11月調査33.7、12月調査34.4、2021年1月調査35.7、2月調査40.0と、景気判断分岐点の50を下回る水準ではあるものの緩やかな改善が続いている。一方、非製造業は2020年9月調査31.5、10月調査34.4、11月調査36.3、12月調査33.4、2021年1月調査31.4、2月調査34.8と、こちらも景気判断分岐点の50をかなり下回る水準での推移である。11月まで持ち直したが、その後新型コロナウイルス感染拡大第3波の影響で、2021年1月まで低下した。2月は少し持ち直した。

なお、日銀短観は水準の調査なので、景気ウォッチャー調査の方向性の現状判断DIではなく、参考データの現状水準判断DIの方を重視した。

3月短観は、直近のQUICK短観とロイター短観、景気ウォッチャー調査から判断すると、大企業・中小企業、製造業・非製造業の4つのカテゴリーとも最近の判断は12月調査より改善すると予測される。その中で改善が目立つのは大企業・製造業の業況判断DIだ。6月調査での新型コロウイルス感染拡大による景況感の大幅悪化から3期連続で持ち直し、プラス2程度と2019年9月調査以来のプラスになると予測される。