Asset Watch 年金基金とベンチャー投資 ~新たなリターンの可能性~ 第5回 2021年度の国内スタートアップ資金調達額は過去最大の見込み
米国におけるVC(ベンチャーキャピタル)への資金供給は、年金基金をはじめとする機関投資家が占める比率が8割にも上る一方で、国内VCの場合は年金基金による資金提供は1%未満にとどまる。ここ数年、国内への投資に特化したPE(プライベート・エクイティ)・VCファンドの運用資産残高が急速に増加し、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)など国内の機関投資家も注目し始めている。日本ベンチャーキャピタル協会 LPリレーション部会の部会長の白木信一郎氏と委員の磯崎哲也氏に、同協会の活動や機関投資家が本格参入するための課題などを聞いた。
国内外のVCの投資成果を横比較するには公正価値評価
機関投資家が国内VCへの出資を検討する際に高いハードルとなるのが、相場価格のない有価証券に対する日本特有の「取得価格」による評価だ。これは公認会計士協会で定められた会計基準をベースとしたもので、海外VCとの横比較で便利なグローバルスタンダードの「公正価値(fair value)評価」とは異なる。「数年前、金融庁は低流動性資産に関して、IFRS(国際財務報告基準)の公正価値測定に関連する基準(IFRS13号)に準拠し、『公正価値基準におけるレベル2の商品は時価評価を適用する』と通達した」(日本ベンチャーキャピタル協会 LPリレーション部会 部会長 兼 あいざわアセットマネジメント 代表取締役社長の白木信一郎氏)。
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