本誌の人気記事「機関投資家のポートフォリオ戦略」が2021年で10周年を迎えた。
同特集では、国内機関投資家を取り巻く環境やトレンド、今後の運用方針のヒントを探ってきた。今回は記念企画として、年金基金や保険会社、運用会社、コンサルティング会社、調査会社のそれぞれの有識者に、近年の運用戦略の変遷と注目アセットとの付き合い方を聞いた。

投資の原点を見つめ直してみてはどうか

中村 明弘氏
企業年金連合会
運用執行理事
中村 明弘氏

これまで、日本の投資家は世界に類を見ない厳しい投資環境の中で奮闘してきた。「日本の株価は30年以上最高値を更新できず、ゼロ金利政策は20年以上続いている。この間、様々な投資対象資産や戦略が話題となったが、期待に応えてくれたものは少なかったように思う」(企業年金連合会 運用執行理事の中村明弘氏)

企業年金連合会では、アクティブ運用を中心に、アルファ獲得を目指して国内に留まらず世界中から優れたマネジャーの選定を行っている。加えて、アルファ源泉多様化を目的に、2002年からPE(プライベート・エクイティ)の投資を開始し、順次オルタナティブ投資を拡大してきた。「外国株式の約20%をPEに、債券の約15%をヘッジファンド、不動産、インフラ、安定的インカムに、各資産の代替として運用している。これまで長期にわたり安定的に超過リターンを獲得することができた。その要因の多くは、投資比率の高い伝統的な株式と債券のアクティブ運用によるものだが、オルタナティブ投資からも期待した効果を得ることができた。特にPEは分散された成熟したポートフォリオとなり、アルファ獲得に大きく貢献している」(中村氏)。

同連合会による過去25年間の超過リターンは累積で48%。現在の積立余剰は、ほぼ超過リターンで説明できるという。年率0.71%に対しトラッキングエラーが0.7%、インフォメーションレシオは1と非常に効率的にアルファを獲得している。

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