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テーパリング年内開始とドル円相場の上昇リスク
- 日本のワクチン接種加速により円高が進行
- Fedによる年内テーパリング開始予測が強まる
- 日米中銀資産の相対増加率とドル円には正相関
- ドル円には上昇リスクも予断は許さない
ワクチン普及による円高説は黄信号
筆者が先月(2021年6月)述べたとおり、わが国における新型コロナワクチン接種の進展に伴い、過去1カ月の間に円は主要通貨に対し反発した。6月16日以来、ユーロは最大2.6%、ポンドは同2.4%、それぞれ、円に対して下落した。一方、ドル円相場の下落率は、筆者の予想に反し0.3%にとどまっている。ただ、国内では地方におけるワクチン供給の滞りが報じられており、ワクチン普及による円高説には黄信号がともっている。
周知のとおり、過去1カ月の間、Fed(米連邦準備制度)の金融政策に対する市場の予想には大きな進展があった。まず、6月16日のFOMC(米連邦公開市場員会)において、2023年中にゼロ金利政策を解除する方針が示された。次いで、7月2日に発表された6月の米雇用統計では、雇用者数が前月比85万人増と市場予想(70万人)を上振れした。また、7月7日に公表された6月のFOMC議事要旨では、参加者によるテーパリング(量的緩和の縮小)に関する議論の開始が確認された。
さらに、7月13日に発表された6月の米消費者物価(CPI)において、コア指数(除く食品、エネルギー)が前月比4.5%上昇と前月を0.7ポイント上回り、1991年11月以来の高い伸びとなった。この結果、金融市場では2021年内におけるテーパリングの開始予想が大幅に強まった。
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