日興アセットマネジメントは2015年1月14日、「魅力的なアジア投資」をテーマに年金基金および金融機関を対象とした資産運用セミナーを都内で開催した。今後のマーケット環境やアジアのクレジット投資についてのプレゼンテーションなどに続き、最後のセッションでは日興アセットマネジメント アジアでヘッド・オブ・エクイティを務めるピーター・サルトリ氏が登壇し、「アジアエクイティ環境」について講演を行った。

日興アセットマネジメントセミナー
セミナー参加者はサルトリ氏の講演に真剣に耳を傾ける

まずサルトリ氏は、マクロ経済の観点からアジア株式の現状について解説。「中国は若干の景気減速が懸念されるが、インドの飛躍的な経済成長によって相殺されるだろう。2015年のアジア(除く日本)の実質GDP成長率予測は6.2%と、安定的な経済成長は続くと見込まれる」と語った。

原油価格の下落は産出国であるマレーシア以外のアジア地域には好影響を及ぼすと説明。「輸入支出が減少すると同時に、政府のエネルギー関連補助金が圧縮でき、財政収支の改善につながる」とサルトル氏は続けた。

そのうえでアジア株式市場を概観し、アジア株式インデックス(除く日本)は、2000年以降世界株式インデックスを上回っていると指摘。ボラティリティの高さに注意は必要なものの、「時価総額で見て、アジア株式市場は急速な拡大傾向にあるが、米国を中心としたグローバル株式と比較しても割安感がある。今後5-10年は安定性のあるリターンが期待できる」と力を込めた。

2015年の注目国に「中国」と「インド」を挙げたサルトリ氏。中国では財政をはじめ、金融市場、SOE(国有企業)、土地・農業などの改革が推進され、持続可能な経済成長が期待できるとした。さらに「GDPに対する個人消費割合の増加や、上海株式市場と香港株式市場間の相互取引の開始による新市場創出なども追い風になるだろう」と語った。

インドについては、2014年春に行われた総選挙でBJP(インド人民党)が単独過半数を占めたことで、エネルギー改革やインフラ投資の加速がより確実なものとなった。人口動態の面でも、「国民の約50%が24歳以下と、労働人口のポテンシャルが高い」と指摘した。

アジアにおける今後の投資テーマとして、「ヘルスケア」「観光」「保険」「環境」の4つを挙げた。中でもヘルスケアに関して、「韓国、タイ、中国をはじめとするアジア各国で高齢化が進み、2050年には65歳以上の人口が9億人を超える見通しだ」とサルトリ氏はいう。医療に対する需要の高まりに加え、アジアの脆弱な医療インフラ面には大幅な改善余地があることも挙げ、アジア市場のさらなる拡大の可能性を言及した。

最後に、同社のアジア(除く日本)株式戦略について、「ボトムアップの銘柄選定や、ファンダメンタル分析を重視する運用プロセスが特徴。今後のテーマであるヘルスケアファンドをコアに、アジアの恩恵をお客様に還元したい」とサルトリ氏は意気込みを語った。