米国の資産運用会社アカディアン・アセット・マネジメントLLCは2014年12月18日、日本での資産運用業務を本格化させると発表した。来日したアカディアン・アセット・マネジメントLLCのエグゼクティブ・ヴァイス・プレジデントのロス・ダウド氏に、その狙いなどについて聞いた。(取材日:2015年1月15日)

アカディアン・アセット・マネジメントLLC
アカディアン・アセット・マネジメントLLC
エグゼクティブ・ヴァイス・プレジデント
グローバル・マーケティングおよび
クライエント・サービス統括責任者
ロス・ダウド氏

アカディアン・アセット・マネジメントLLCの強みとは。

ダウド 当社は1986年にボストンで設立し、グローバルで機関投資家向けの資産運用サービスを行っている。クオンツ運用を駆使した40を超える投資戦略を提供し、運用残高は2014年9月時点で約8兆1951億円にのぼる。

我々は、クオンツ運用のパイオニア的存在であり、リーマン・ショックなど世界的な金融危機も切り抜けてきた強みを持つ。

また、独自のデータテクノロジーを活用した定量分析により、約4万銘柄を1日3回モニタリングすることで、投資機会やリスク要因をいち早くキャッチしている。新興国市場や中小型株に潜んでいる有望銘柄も、長年の経験で培ったアプローチによって効率的に発掘することが可能だ。

加えて、投資プロセスをはじめ、各銘柄のパフォーマンスがポートフォリオにどのような影響を及ぼしているかなどを明確に提示している。この、データの「透明性の高さ」も強みの一つだ。

日本での資産運用業務を本格化させた狙いは。

ダウド 創設者であるギャリー・バーグストローム氏は、米国の市場で使われている投資テクニックをより多くのグローバルな投資家に提供したいという信念のもと、当社を設立した。日本では1990年代から日本株式投資戦略を通じてビジネスを展開している。

我々のロング・ショート戦略の特徴は、エクスポージャー(リスクにさらされている資産割合)を市場変動の影響を受けないよう中立的にコントロールしている点にある。従来のインデックスとの相関性が極めて低いため、分散効果も期待できるだろう。

リーマン・ショックで株価のバリュエーションが大幅に下落し、期待されたほどのリスク抑制ができなかったことで、クオンツ運用に疑問を持つ日本の機関投資家も少なくない。過去の検証のみならず、将来の市場動向の予測も行う質の高いクオンツ運用を日本の機関投資家の皆様に提供すべく、今回の資産運用業務の本格化に踏み切った。

既存の顧客によりきめ細かな投資ソリューションを提供することが第一の目的だが、当社の投資戦略を広範な機関投資家に知っていただき、中長期の資産形成をお手伝いしたいと考えている。目標は、2015年1月現在で1500億円の資産運用残高を、3-5年で4700億円以上にすることだ。

どのような投資戦略を提供する予定か。

ダウド 積立不足を抱える機関投資家には、新興国の中小型株やロング・ショート戦略など、リスクを抑えつつより高いリターンを還元できる商品。一方、長期安定の資産形成を目指す機関投資家には、通常のインデックスと比べリスクを60%程度に抑えた低リスクな株式戦略など、下落局面に強い商品を提案する考えだ。

さらに、スマート・ベータやモメンタムなど、あらゆる戦略を顧客のニーズに合わせカスタマイズして提供していきたいと思っている。