• 英欧間のFTA交渉をめぐる再混乱からポンドが急落している。
  • EU市場統合は英欧の物価収斂を通じてポンド高に寄与した。
  • 英国のEU完全離脱は長期的なポンド安を招来しよう。

EUと英国のFTA交渉、北アイルランド問題への懸念

梅本徹
J-MONEY論説委員
梅本 徹

外為市場では、9月に入り英国のポンドが急落している。ユーロポンドは、9月3日の安値0.8864から11日の高値0.9292まで、わずか6営業日間に4.8%上昇し(ポンド安ユーロ高)、市場関係者の注目を集めている。

ポンド急落の背景は、英欧間のFTA(自由貿易協定)交渉が再び決裂の危機に瀕していることにある。英国は、本年1月末にEU(欧州連合)を離脱したものの、年内は激変緩和のための移行期間において、英欧間では関税ゼロの状態が続いている。来年以降もこの状態を維持するには、英欧がFTAで合意することが必要だが、夏休み明けの8月下旬に開かれた7回目の交渉は、政府補助金の扱いなどをめぐる対立によって、進展なく終わった。欧州議会などでの承認手続きによって、10月末までに法的な合意文書が必要と強調するEUに対して、英国のジョンソン首相は、9月7日の声明で10月15日のEU首脳会議までに合意できなければ、決裂を判断すると明言した。

また、9日には同政権が、1月末に発行した離脱協定の一部を修正する内容を含む国内法案を英議会下院に提出した。同協定には、英領北アイルランドとEU加盟国であるアイルランドの間に物理的な国境を設けないことが盛り込まれているが、新国内法案にはこれを修正する内容が盛り込まれており、北アイルランド紛争再発の懸念まで出てきている。同法案をめぐって、無論、EUは国際法違反として猛烈に反発する一方、11月の大統領選を前にアイルランド系住人を多く支持基盤に持つ米民主党にまで飛び火し、また、これに先立つ7日には法案に不満を持った英法務局トップの辞任まで報じられた。このため、8~10日に開かれた8回目の英欧間の交渉にも進展はなかった。

移行期間が終了する年末まで、引き続きボラタイルな動向が予想されるが、無事FTAが締結された暁には、相場は落ち着きを取り戻すのか?

この記事は会員限定です。

会員登録後、ログインすると続きをご覧いただけます。
新規会員登録は画面下の登録フォームに必要事項をご記入のうえ、登録してください。

会員ログイン
新規会員登録(無料)
利用規約

第1条(本規約)

株式会社エディト(以下「当社」とします)は、当社が提供する「J-MONEY Online」(以下「本サイト」とします)について、本サイトを利用するお客様(以下、「会員」とします)が本サイトの機能を利用するにあたり、以下の通り利用規約(以下「本規約」とします)を定めます。

第2条(本規約の範囲)

本規約は本サイトが提供するサービスについて規定したものです。

第3条(会員)

本サイトの会員は、機関投資家や金融機関の役職員、事業会社の経営者・財務担当者、その他金融ビジネスに携わる企業や官公庁、研究機関などの役職員、もしくは専門家のいずれかに該当していることを条件とし、登録の申し込みを行うには、当社が入会を承諾した時点で、本会員規約の内容に同意したものとみなします。なお、申込に際し虚偽の内容がある場合や本規約に違反するおそれがある場合には、当社は会員登録を拒否もしくは抹消することができます。

第4条(ユーザー名とパスワードの管理)

ユーザー名およびパスワードの利用、管理は会員の自己責任において行うものとします。会員は、ユーザー名およびパスワードの第三者への漏洩、利用許諾、貸与、譲渡、名義変更、売買、その他の担保に供するなどの行為をしてはならないものとします。ユーザー名およびパスワードの使用によって生じた損害の責任は、会員が負うものとし、当社は一切の責任を負わないものとします。

第5条(著作権)

本サイトに掲載された情報、写真、その他の著作物は、当社もしくは著作物の著作者または著作権者に帰属するものとします。会員は、当社著作物について複製、転用、公衆送信、譲渡、翻案および翻訳などの著作権、商標権などを侵害する行為を行ってはならないものとします。

第6条(サービス内容の停止・変更)

当社は、一定の予告期間をもって本サイトのサービス停止を行う場合があります。 会員への事前通知、承諾なしに本サイトのサービス内容を変更する場合があります。

第7条(個人情報の取扱い)

当社は、会員の個人情報を別途オンライン上に掲示する「プライバシーポリシー」に基づき、適切に取り扱うものとします。

必須 私は、利用規約およびプライバシーポリシーに同意したうえで、会員登録を申し込みます。

本サイトからのメールは「●●●●●●@j-money.jp」という形式のメールアドレスで送信いたします。メール規制の設定をされている方は、「j-money.jp」のドメインからのメールを受信できるよう設定をお願いします。

必須=必須項目