4つの局面で値動きを振り返る

三菱UFJ銀行 内田稔氏
三菱UFJ銀行
グローバルマーケットリサーチ チーフアナリスト
内田 稔

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、市場は急変し、ドル円の値幅も2020年初来で10円を超えた。そこで、本稿ではポスト・コロナショックの為替市場を振り返り、「新常態」下でのドル円相場を展望する。

はじめに、米S&P500指数が最高値を記録した2020年2月19日から予想を上回る米雇用統計が発表された同年6月5日を観測期間として取り上げる。次に、ドル指数と米S&P500指数の動きから、リスクオン・オフの違いとその程度に応じて4つの局面(フェーズ)に切り分けた。その上で、ドル指数とドル円の値動きを振り返ってみよう(図表)。

2020年の各フェーズの詳細とドル円の変化率

まず、新型コロナウイルス問題が世界経済への深刻な驚異として認識され、リスクオフに傾斜したのがフェーズIだ。米長期金利の低下を受けてドル指数が下落し、ドル円も1ドル=101.18円まで急落した。一方、ドル資金の流動性低下や信用不安が高まり、リスクオフの程度が増したフェーズIIでは値動きが一変した。ドル指数の急騰が、リスク回避の円買いを上回り、ドル円も1ドル=111.71円まで急反発した。

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