野田佳彦前首相による衆院解散表明以降、国内株式は年末から上昇傾向にある。2013年5月23日の急落後は価格変動が激しくなっているものの、この株高を機関投資家はどのように見ているのだろうか。真意を探るべく関係者に話を聞いた。(工藤晋也)
株式
株高よりもリスク抑制を重視、「集中投資」の広がりが鮮明
2013年6月7日、東京株式市場の取引終了後に飛び込んできたニュースにマーケットは色めき立った。100兆円超の資産規模を誇る“機関投資家の巨人”、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が国内株式の比率を11%から12%に引き上げることを発表したからだ。
リーマン・ショック以降、機関投資家の定番スタイルだった債券中心の運用からの脱却が図られているのだろうか――。その実態を探る上で参考になるデータがある。JPモルガン・アセット・マネジメントが140の企業年金を対象に実施している「年金運用動向調査」だ。機関投資家全体の動向とはいえないが、年金基金がどのような市場環境に着目し、運用戦略を策定しているのかを把握するための手がかりになる。
最も多くの年金基金が注視しているのが「先進国の超低金利(今後の金利上昇懸念)」(図表)。次いで「市場のボラティリティの上昇やテールリスクの増大」「頻繁なリスクオン・オフの変化」といった要因も強く意識されている。しかし、アベノミクスによってにわかに脚光を浴びている国内株式への関心は低いままだ。
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