【ヘッジファンド探究】第5回 イベント・ドリブン戦略(前編)〜M&Aや事業再編、市場との「価格差」が収益源泉~
過去2回では、株式ロング・ショート戦略について、実際の運用者との面談を「バーチャル体験」しながら、その投資手法や多様な運用スタイルを見てきました。今回と次回取り上げるのは「イベント・ドリブン戦略」です。ラッセル・インベストメントで主にヘッジファンドを担当する河西正勝さんと共に、ヘッジファンド運用者との面談を「バーチャル体験」します。
株価や経営に響く「イベント」が投資機会
河西 阿部さん、今回はイベント・ドリブン戦略のヘッジファンドを訪問します。ポートフォリオ・マネージャー(PM)にいろいろと聞いてみましょう。
ここでの「イベント」は、株価や企業経営に重大な影響を及ぼす出来事のことですよね。イベント・ドリブンというと、M&Aなどが関係するイメージです。今回はどのようなところから話を聞けばよいでしょうか。
河西 今回も、まずは「歪み」を意識して聞いてみると良いと思います。というのも、株式ロング・ショート戦略もイベント・ドリブン戦略も「運用者が考える企業価値」と「市場価格」の間にある歪みを捉えるという考え方は同じで、両者には重なる部分もあります。株式ロング・ショート戦略でも、企業を分析する中で、M&Aや事業再編などのイベントを投資判断に取り入れることがあります。一方、イベント・ドリブン戦略では、こうしたイベントそのものを投資機会の中心とします。
PM そうですね。私たちは、企業に起こるさまざまなイベントから投資機会を探しています。代表的なのはM&Aですが、それだけではありません。事業売却や会社分割、資本政策の変更、企業再編などもあります。また、経営不振に陥った企業の再建に投資することもあります。投資対象は主に株式ですが、社債なども投資対象になります。例えば経営不振企業の再建では、株主にどれだけ価値が残るかよりも、債権者にどれだけ返済されるかが重要になるためです。私たちは、こうしたさまざまな投資機会を組み合わせながら、特定のイベントに収益が偏りすぎないように分散してポートフォリオを構築しています。
河西 阿部さん、イベント・ドリブンにもいろいろな投資手法があることが分かると思います。それぞれの特徴については次回、改めて整理したいと思います。今日は、このPMが強みとするM&A裁定に絞って聞いてみましょう。
分かりました。M&A裁定では、どのような「歪み」を見つけるのでしょうか。
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