世界の機関投資家の運用動向 【2024年第3四半期】高利回り債券戦略への注目が高まる
Nasdaq eVestment™ プラットフォームには、世界の運用会社から機関投資家が運用する伝統的資産およびヘッジファンドの資産データが戦略単位で報告される。それらのデータを基に、機関投資家の運用動向を振り返ろう。
ナスダックが提供する機関投資家向けのデータ分析プラットフォーム。2万7800以上のアクティブ運用戦略を網羅し、アセットオーナーやコンサルタントが資産運用会社のスクリーニングなどに活用する。パフォーマンスやリスク指標の比較、ESG 分析、資金フローの把握が可能で、投資判断の精度向上に貢献する
債券戦略は全体的に好調マルチアセット戦略に関心
2024年第3四半期(7~9月)は、世界の機関投資家のAUM(運用資産残高)において、債券戦略の配分増加が明確化した点がハイライトとなった。Nasdaq eVestment™のデータでは、債券戦略は3四半期連続の純流入となり、今期の純流入はプラス240億ドル。年初来の総流入額はプラス2165億ドルに達した。
純流入を記録した8つの主要な債券戦略分野のうち、5つはアクティブ運用、3つはパッシブ運用で構成されており、運用スタイルに関わらず全体的に投資資金が流入したことが窺える。内容を見ると、そのほとんどが米国市場に焦点を当てたものだった。特に「米国コアプラス」(プラス147億ドル)および「米国パッシブコア」(プラス137億ドル)のプロダクトへの配分増加が目立った。
マルチアセット・クレジット戦略への関心の高まりも形として現れた。Nasdaq eVestment™ではユーザーがどのような戦略・プロダクトの情報を個別に閲覧したのか統計を取っている。中でも、運用会社や運用コンサルタントの閲覧データを見ると、絶対数が少ないマルチアセット・クレジット分野のプロダクト情報の閲覧数が全体の1.2% を占めるという、構成比以上の注目度がみられた。資金フロー情報が集計されたマルチアセット・クレジットのうち、資金が流入した戦略の割合も71.9%に到達し、実際に機関投資家の資金もシフトしている様子が見られる。
前期と比較すると、第3四半期の機関投資家のプロダクト情報閲覧回数は、債券分野で全体的に上昇した。中でも高利回りの債券への関心が増えていることがトレンドで、米国およびグローバルのハイイールド債、米バンクローン、米国およびエマージング市場の社債、CLO(ローン担保証券)といった分野で、顕著に閲覧数が増えている。

株式投資家の資金はアクティブ型から逃避
債券投資が盛り上がる一方、株式投資には厳しい時期となった。第3四半期の機関投資家AUMの純流入額トップ10はほとんど債券関連戦略に占められ、株式関連戦略は2つのみ。ランクインしたのはいずれもパッシブ株式戦略で、「米国パッシブ型S&P500株式」戦略はプラス246億ドルで今期の純流入額のトップ。「米国パッシブ型大型株」戦略はプラス102億ドルであった。
他方で純流出額のトップ10を見れば、うち5つがアクティブ型の株式戦略となっている。特に「グローバル・オールキャップ・コア」戦略はマイナス411億ドルで、全資産のうち最大の純流出を記録した。機関投資家がアクティブ型世界株から資金を引き揚げ、パッシブ型の米国株式にシフトしたようだ。
※文中およびグラフに示す「債券戦略」は、キャッシュおよび元本保証型商品を除く(noncash/non-stable value fixed income strategies)
















